■「吉田兄弟」監修、本格派“津軽三味線”アニメ
日本の伝統音楽の中でも津軽地方で発展してきた“津軽三味線”を題材にした音楽アニメ『ましろのおと』。師匠で伝説的津軽三味線奏者の祖父・澤村松吾郎を亡くし演奏できなくなった主人公の澤村雪が、あてもなく上京した先で出会ったさまざま人たちとの触れあいを通して自分の好きな音、三味線を見つけていく物語だ。
本作の注目ポイントは、津軽三味線の鬼気迫る音色だろう。津軽三味線は“弾く”ではなく“叩く”という言葉が似合うと言われるぐらい、激しくスピード感のあるサウンドが特徴的な和楽器、演奏スタイルだ。
これまで音楽アニメには『のだめカンタービレ』や『坂道のアポロン』、『響け!ユーフォニアム』などの名作がそろっているが、和楽器を題材にした作品は少ない(筆者が知る限り、2019年の春・秋クールに放送された“箏(こと)”のアニメ『この音とまれ!』だけだと思われる)。そのため演奏シーンはもちろんBGMでどんな和の音色が聴けるのか、また“雅で繊細な和”ではなく“迫力のある和”のサウンドが奏でられるのか、目だけでなく耳にも刺激的な作品になりそうだ。
また、作品の津軽三味線の音色を支える人にも注目したい。本作の津軽三味線監修には、世界でも活躍している津軽三味線アーティストの「吉田兄弟」が名を連ねている。伝統芸能の枠にとらわれずさまざまなカルチャーやアーティストとコラボレーションをしてきた吉田兄弟が自分の三味線を見つけていく雪の音をどう表現するのか、期待が高まる。
なお、羅川真里茂原作の少年漫画も『月刊少年マガジン』(講談社)で連載中だ(2021年3月22日現在)。原作つきアニメはその原作をチェックすることで、キャラクターたちの心情やストーリーの理解度がより深まることも多い。作品を見る前に、数話もしくは全話見た後で、と自分にあったタイミングで原作漫画を手に取ってみれば、アニメをより楽しめるかもしれない。
放送はTBS系列「アニメイズム」枠にて、2021年4月2日からスタートする。