■北斗百裂拳(北斗の拳)
当時は『北斗の拳』(原作:武論尊、作画:原哲夫)も大人気で、ケンシロウの代表的な必殺技「北斗百裂拳」はもっとも真似された技かもしれない。とりあえず拳のラッシュを繰り出しながら「あたたたたた!」と連呼しておけば良かったので、真似した経験のある人は相当数いることだろう。
ついでに私の小学校では、「さりげなく秘孔を突く」という行為が大流行(北斗百裂拳も秘孔を突く技だが)。指先で人体の急所とされる経絡秘孔を突き、「おまえはもう死んでいる……」というケンシロウのセリフを真似する人が続出。
おそらく『北斗の拳』をよく知らないという人でも、一度くらいはこのセリフを聞いたことがあるのではないだろうか。ちなみに実際に秘孔とされる場所を突かれるとけっこう痛かった……。
ほかにも北斗4兄弟のトキが、レイを延命させるために突いた「心霊台」という秘孔がちょうど心臓の裏側の背中にあるとされていて、友達とここを突いてレイとトキごっこをして遊んだ記憶もある。
■ガチで大ケガをするケースも……
フィクションである漫画に登場する必殺技をうかつに真似したことで、危険な事故に発展することも多々あった。私の知人の学校では『聖闘士星矢』に登場するキグナス氷河の必殺技「ダイヤモンドダスト」と叫びながらそのまま拳でガラスを突き破ってしまい、大流血するという事故が発生。その後の朝礼で全校生徒に『聖闘士星矢』ごっこの禁止が言い渡されるという騒ぎが実際に起こったという。
ただ必殺技のポーズを真似するくらいなら問題ないが、つい調子に乗りやすい子ども同士のことなので、むちゃをして再現しようとすると思わぬケガやケンカに発展してしまうことも珍しくなかった。
今、漫画やアニメの技名を言い合って遊んでいるむじゃきな子どもたちをほほ笑ましく思う反面、やりすぎないように注意深く見守ってしまうのは、過去の自分が実際に経験してきたホロ苦い思い出のせいなのかもしれない。