社会現象を巻き起こしたアニメ『鬼滅の刃』。昨年10月16日より公開となった同作の映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は大ヒットを記録し、Blu-ray&DVDの発売が6月16日に決定した。今年はアニメ続編「遊郭編」の放送も決定しており、ますます人気の加熱が予測される同作。最近ではアニメの制作会社にも注目が集まるようになったが、同作がここまでの人気となったのも、吾峠呼世晴氏の原作漫画の魅力を最大限に活かしつつ映像化した、アニメ制作会社「ufotable(ユーフォテーブル)」による圧倒的な力量も挙げられるだろう。
ufotableは、これまで『ニニンがシノブ伝』『Fate/Zeroシリーズ」など、さまざまなアニメを手がけてきたが、2007年1月クールに放送された同社初のオリジナルアニメ『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』も上記作品に負けず劣らずの面白さがある。そこで、今回は約14年ぶりに、同作のすさまじい魅力の数々を振り返ってみたい。
■豪華声優陣が共演、スフィアも実は全員出演
同作の素晴らしさを伝えるには、声優陣の豪華さを紹介するのが手っ取り早い。猪突猛進な主人公・天宮学美は堀江由衣さん、引っ込み思案な生徒会書記・稲森光香は野中藍さん、活発な体育会系女子・上原むつきは井上麻里奈さん、頭脳明晰な生徒会会計・衛藤芽生は平野綾さん、何を考えているか分からない不思議系女子・小鳥桃葉は藤田咲さんという華々しいラインナップとなっている。
メインキャラクターを名実ともにトップ声優が担っていたことは魅力的だが、実はもう一つ声優陣に注目すべきポイントがある。それは、人気声優ユニット「スフィア」のメンバーである寿美菜子さん、高垣彩陽さん、戸松遥さん、豊崎愛生さんが全員出演しているのだ。しかも「生徒」「部員」といったキャラ名がない、いわゆる“モブキャラ”を演じており、後にスターダムを駆け上がる人気声優の下積み時代の演技に注目するのも非常に面白い。
■「学校に通うことの意味」を追求する悩める10代たち
次に同作のあらすじについて話したい。舞台は少子化と価値観が多様化したことにより、高校に進学する生徒が減少した2035年。学校に通う生徒自身も“学校に通うことの意味”に疑問を抱いている中、学美は私立聖桜学園への転校早々に生徒会長に立候補。先頭に立ってクラスメイトを巻き込みながら、学園を「わくわくできらきらな場所」にする奮闘記となっている。
基本的には生徒会長に就任した学美が、何度も壁にぶち当たりながらも懸命に前に進む“スポコン”的な物語が描かれているが、並行して各キャラが「何に悩んでいるのか」「過去に何があったのか」といった部分にもフォーカスする“青春モノ”的な要素も見られ、さまざまな角度からストーリー展開を楽しめる。
かわいらしいキャラクターデザインであるため敬遠されがちな同作ではあるが、そのストーリーは“萌え”に傾倒したものではない。葛藤を抱えながらも複雑な時代を生き抜こうとする彼女たちの勇士に目が離せなくなる。