■『FF7R』のエアリスが“知っている”こと
では、ここからは『FF7R』のお話です。『FF7R』ではミッドガル脱出まで、新キャラクターも登場させつつ、原作では10時間弱でたどり着く物語を40時間前後遊べるボリュームにまで深く描きました。エアリスももちろん登場するのですが、道中の発言でなんだかおかしな点が多くみられるのです。
まだ伝えてもいないのにクラウドが「何でも屋」であることを知っていたり、まだ見てもいないバレットの親友の娘・マリンの存在を知っていたりなど、「あれ、会話見逃したっけ?」となってしまうようなことが多くあります。もしこういった「予知のような会話」が1つだけだったら「ミス」の可能性も大いにあるのですが、複数あるとこれはもう意図的ですよね。
そして、本作に登場する謎の敵?「フィーラー」という存在もカギを握っています。フィーラーは「運命の番人」とも言われ、物語が原作の道筋からそれそうになるときに邪魔をしてくる存在です。たとえば、原作ではある場所にいなかった人物が、その場所に向かわないように邪魔をしたり、死ぬはずではなかった人物を蘇生させたりと、もうむちゃくちゃやってきます。
そして、そのフィーラーの存在を目視できるようになるのは、クラウドがエアリスに接触してからなのです。
と、考えるとある答えに行き着きます。
エアリスは原作の“運命”を知っていて、その結末を変えるために“運命”にあらがっているのではないか、と。つまり、2周目なのではないかということです。最終盤でフィーラーを倒すことになるのですが、ということは「運命を守ろうとする存在」がいなくなったということでもあります。これにより、リメイク版の続編以降で原作の物語とは違う展開になることはもう間違いないのですが、それよりなによりエアリスが原作と“完全に同一人物”なのかもしれないですよね。
もし原作の運命を知らないのであれば、事前情報もなく運命にあらがおうとする理由がありません。そして、エアリスがマリンに触れた際、何かを勘づいたマリンが「ハッ」とした表情をしたときに口に人差し指を当てて「しー」とやります。この伏線もまだ回収されていません。
いったい、マリンは何に気がついたのでしょうか……。もしかしたらエアリスはもうすでに……。
また、『FF7R』では好感度により展開が分かれるシーンがあるのですが、エアリスルートで見られるシーンでエアリスはクラウドに「好きにならないで」と優しく突き放します。まるで自分が「クラウドの元からいなくなること」を事前に知っているかのような……。
このことによりネットではもうすでに「エアリス2周目説」は確定事項のようになり、続編はまだかと全員がウズウズしている状態です。原作のようにエアリスとゴールドソーサーでデートしたかった僕からすると、エアリスが運命にあらがおうとしていることが心からうれしいです。
あの結末を変えようと奔走してくれているのであれば、全エアリスファンどころか全プレイヤーのどぎもを抜いたあのシーンも防げるのではないかと思うのです。あのシーンには賛否はありますが、僕はあのあとのクラウドの「エアリスは……」(ネタバレなので割愛)のセリフが大好きなので正直、どっちに転んでも幸せです。