どうもみなさん、私吉本興業でパンサーというフラッグフットボールチームのコーチをしている菅良太郎と申します。フラッグフットボールというのは分かりやすく言うと、タックルがないアメリカンフットボールといいますか、タックルに代わってプレイヤーの腰の左右につけたフラッグを取ることに置き換え、敵味方の選手同士の身体的接触は原則として禁止とした、より安全で幅広い層が参加出来ることを目指したフットボールであります。以後お見知り置きを。
話がそれました。私38歳男子なのですが、少女漫画が好きでこのふたまん+で少女漫画についてのコラムを書かせていただいている次第でございます。さて今回コラムを書かせていただく作品は王道中の王道、少女漫画の金字塔と言っても過言はないでしょう。
美内すずえ先生の『ガラスの仮面』でございます。1976年から連載が始まりいまだに未完! 2014年9月の時点で累計発行部数が5000万部を突破した大ベストセラーでございます。
平凡な一人の少女、北島マヤがライバルとの葛藤を通して眠れる芝居の才能を開花させ、成長していく過程を描いた作品であります。お話の流れはこんな感じなのですが、中身はもうすんごい濃さ! 登場人物も全員濃い! 起きる事件も全部濃い! すべてにおいてパンチ効きすぎてる少女漫画界のラーメン二郎なんです。
まずお話の最初は中華料理店に母親と2人で住み込みで働く、ドラマや映画が大好きな主人公マヤが演技の才能を開花させるところから始まります。まず漫画内では平凡と説明されますが、全然平凡ではありません。ドラマや映画が大好きすぎて、出前の最中にドラマやお芝居を見てしまうと夢中になりすぎて出前を忘れて作品に見入ってしまい、出前が不可能になり母親にしばき回されます。そして母親は事あるたびに「おまえにはなんの才能もない」と口癖のようにマヤに伝えるのです。この時点でもう平凡のへの字もないように思えるのは僕だけでしょうか?
そんなある日、再び映画に見入ってしまい出前を失敗したマヤが、公園で前日見た映画を完コピし、子どもたちに見せるという化け物じみた才能を見せているときにマヤの運命を変えるキャラクターが現れます。それが、顔の片方を前髪で隠した往年の大女優・月影千草です。この方、インパクト強すぎてガラスの仮面読んだことがない人でも見たら「あぁ!この人か!」ってなると思います。この月影千草はマヤの才能に驚きもう一度今の演技をしてみてくれと頼むのですが、マヤは彼女の前髪で隠れた傷にビビって逃げてしまいます。
そんな中、住み込みのマヤたちをよく思わない中華料理屋の娘が、マヤがとても見たがっている舞台『椿姫』のチケットを見せびらかし、一番忙しい大晦日の12時までに1人きりで出前をすべて終えたらチケットをあげるとめちゃくちゃな提案をしてきます。その出前の数、なんと120件。ウーバーイーツ世界記録でもこんな数余裕でいかないことでしょう。しかしマヤの演劇への情熱はそんなものではへし折れません。倒れて這いずり回りながらも雪の降る中120件の出前を終わらせます。
意識が朦朧としながらも約束を守ったからチケットをくれと懇願するマヤに対し、悔しい中華料理屋の娘は冬の海にチケットを投げ捨ててしまいます。普通の少女漫画であればここでヒロインが泣き崩れて終わりでしょう。しかしこれはガラスの仮面。マヤはなんのためらいもなく冬の海に飛び込みます。