声優・徳井青空、SFオタク視点から見た2020年2つの事件【そらまるコラム・第14回】の画像
声優の徳井青空さん(写真は本人提供)
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 みなさまこんにちは、徳井青空です。気がつけば靴が無効化するほど足の先は冷え、コートのポケットは私の手をつかんで離さない。とにかく鼻の皮膚が薄い私はサンタのトナカイにも負けない真っ赤なお鼻で、とにかく鼻が冷えて冷えて毎年まいっている。もっと鼻毛があれば少しは暖かくなるのかもしれない。寒い季節には毛が生え変わる動物もいるし、人間も寒くなったら鼻毛がふさふさになればいいのに。暑いときは太くて短い鼻毛で通気性をよく、寒いときには細く長い鼻毛で温かい空気を逃がさない。乾燥したホコリからも守ってくれそうだし、湿度も保ってくれそうだし。あぁ、理想の鼻毛。今年もまた、そんな季節になった。

 なにごともなかったかのように冬はやってきて、2020年も地球はいつも通りなんだなと思う。ただそれを、どんな時も変わらないでいてくれる安心感ととらえるか、決して抗うことのできない恐怖と捉えるかは、人それぞれだとも思う。

■謎の飛行物体と火球騒動

 2020年を振り返ると、驚くようなことがいっぱいあった。一番驚いたのは人々の関心と反応だ。

 趣味でオカルト分野も研究している私的には「仙台上空に現れた謎の飛行物体事件」や「謎の火球、関東上空で爆発」への人々の関心と反応が興味深かった。1つ目の仙台の飛行物体、日中に出現した丸くて白い物体。かなりの高度を飛行しており、ラジオゾンデにも似ているが、どこからも届け出は出ておらず出元不明の物体であった。

 なんだかまったく分からないものを、「空を見上げるいい機会になった!」とSNS発信用のテンプレみたいな言葉で片づけられてしまった。なにか危険なものだったら一大事では!? と心配するのは一部のSFオタクぐらいで、基本的には「空を見てなんだか元気がでた!ありがとう謎の飛行物体!」という感じでまとまったと認識している。

 2つ目の、関東上空に現れた火球。夏には2度も関東に出現。1度目は私もリアルタイムで爆発を体感した。深夜、窓を開けていたら突然「ドン!」という大きな音。開いている窓からは素早い風が入ってきて、閉めている窓にはバンッと強い衝撃波がぶつかった。台風など風の強い日でもなかなか窓に圧力が瞬間的にかかることはないし、これまでの人生で感じたことのない何とも言えない衝撃波だった。強いて言えば新幹線と新幹線がすれ違う瞬間のような。

 こんな強い爆風を都内のみんなが感じてるなんて、そうとう大規模だぞ、これはなにかヤバイものが空中で爆発したのでは、と深夜のツイッターがざわつくも、翌朝「火球」とのニュースがでると「なんだ火球かぁ」とあっさり納得。

 え、そもそも火球ってなんだよ……みんないつのまにそんなに火球に詳しくなってたんだよ……と「火球 定義」で私がググっている間に世間では「素敵な天体ショー!ありがとう火球!」などとまたまたおなじみのテンプレで幕を閉じた。

 その1か月後に再び火球が現れまた空中で爆発するが「また火球!今月もありがとう天体ショー!」、11月にも西日本の広範囲で目撃されたかなりの明るさの火球があったが「満月級の明るさは珍しい!ありがとう天体ショー!」という感じであった。またもや明確ではないものに対して「ありがとう!」のひと言でまとめ完結させてしまうことに私は冷たささえ感じてしまう。

 たしかにこのご時世、むやみに不安をあおることは良くはないとは思うが、不安なものかどうか検証していくことさえ避けられている気がしてならない。一見すると「ありがとう天体ショー!」はポジティブな言葉のように感じるが、関心打ち切りを意味した終了の言葉に私は感じる。「ありがとう」は確かに素敵な言葉で私も大好きだ。しかし、なんでもかんでも、よく分からないものに対しても「ありがとう!」というのは、あくまでSNS用の偽善的なテンプレであってほしいと私は願う。

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