『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』は、東京・渋谷を舞台に、3つのエピソードが巧妙に絡まり合ったスリル満点のサスペンス。本作の魅力をプロデューサーである小学館の近藤秀峰さん、読売テレビの汐口武史さん、トムス・エンタテインメントの寺島清晃さんにインタビュー! 全3回の座談会の最終回は、物語の舞台・渋谷についてと、プロデューサー陣のコナン愛について聞いてみた。
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実際の渋谷を調査しながら、細やかな演出を目指した
――劇中の連続爆破事件は、東京・渋谷を標的にしています。かつての佐藤刑事と松田刑事のエピソードに出てくる死神から、勝手にハロウィンを想像してしまい、それで舞台が渋谷なのかなと思ったのですが、なぜ渋谷だったのでしょう。
寺島 なぜ渋谷なのかは……観ていただければわかります。今はここでは言えなくて…(笑)。
近藤 そうですね。ぜひ劇場で迫力の爆破シーンをお楽しみください(笑)。
――わかりました(笑)。渋谷の爆破シーンを描くうえで、取材はされたのでしょうか。
寺島 脚本が完成した後、スタッフの方たちが渋谷へ赴きロケハンを行いました。渋谷ヒカリエさん、スクランブルスクエアさん、ミヤシタパークさんなど、実際にある建物は現地取材。作品上、架空で作らざるをえないところは、街を歩きながらシチュエーションを模索してましたね。
――劇場版名物のオープニング映像も渋谷が出てくるということで、演出がすごく楽しみです。さて、今回は皆さんに『コナン』の魅力を語っていただきたいと思うのですが。
近藤 何でもできる点ですね。たとえば第24作『緋色の弾丸』(2021年)は近未来の乗り物、真空超電導リニアモーターカーを出して名古屋から東京まで走らせました。第23作『紺青の拳(フィスト)』(2019年)ではシンガポールへ取材に行って、マリーナベイ・サンズを壊しましたし(笑)。
――派手な破壊シーンでしたよね(笑)。
近藤 そうですね。それから乗り物でいうと、飛行船にも乗ったし(第14作『天空の難破船(ロスト・シップ)』(2010年))、あとは飛行機や(第8弾『銀翼の奇術師(マジシャン)』(2004年))、豪華客船も(第9弾『水平線上の陰謀(ストラテジー)』(2005年))乗って、陸海空すべて制覇しています。今回は再開発が済んで完成した2027年の渋谷の街を登場させてますが、『コナン』は現在進行中のネタをを扱えるのが魅力。それができてしまうのが『コナン』だと思いますね。映画のネタとしては、トリックを考えるのは大変なこともあるのですが。
――やはりトリックを考えるのは毎回大変なんですね。
近藤 今回は、脚本の大倉さんから素晴らしいアイディアをいただきました。ただ、それらをどうやって膨らませられるのかというところを考えるのが大変です。
寺島 そこがいちばん難しいんですよね。
近藤 核となるトリックに対して、原作の青山先生と一緒に話しながらみんなで「これがいいね!」と言えるのがスムーズにいくときと、いかないときがあるんです。今回の『ハロウィンの花嫁』に関しては、わりとスムーズにいったのではないかなと思います。
――ありがとうございます。皆さんの好きなコナンの劇場版作品もお伺いできますでしょうか。
近藤 思い入れのある作品でもいいですか? 僕の場合は第20作『純黒の悪夢(ナイトメア)』(2016年)です。僕がプロデューサーという立場で初めて担当した作品なんです。
寺島 僕の好きな劇場版は、自分がプロデューサーとなって初めて引き継いだ今回の『ハロウィンの花嫁』。やはりやり遂げた感があります。コナンの魅力は、高校生が小学生の体になるけれど、頭脳は高校生のままなので、実は何でもできてしまう。その設定と着眼点がまず素晴らしくて、さすが青山先生やアニメ化されたスタッフの皆さんだなと思います。話はライトな方向にいくのかなと思いきや、そうではなく、僕のような年代でも読んでいてのめり込んでしまうほどおもしろいところが魅力ですね。
――汐口さんも、今作が初めて参加する劇場版『コナン』作品ですね。
汐口 今回は途中から参加したのですが、初めて携わる『ハロウィンの花嫁』は、やはり思い入れがあります。僕にとって『コナン』は、子どもの頃にちょっと背伸びして読んでいた作品でした。子どもにとって初めて出会うミステリーで、親しみあるキャラクターだけど、どこか大人の世界を覗いたような気分になるのがコナンでした。そういうところをこれからも大事にしていきながら作っていきたいと思います。
――あらためて、この作品は皆さんにとってどんな作品になりましたか。
汐口 僕にとって今作は『コナン』に携わるスタートラインであり、今後の自分の生き方を左右する作品になるんじゃないかなと思っています。どんな反響があるか、楽しみでもありますね。
寺島 観ていただく方が、今回の作品を観ておもしろかったと思っていただけたなら、そんな作品に関われたというところですごく幸せを感じます。
近藤 僕の中では、芯を食ったという達成感があります。最初は渋谷の街を舞台に、コロナ禍で宣伝展開をどこまでできるのかという懸念がありました。ですが、東宝の宣伝チームのみなさんのご協力もあって、渋谷という街のいろいろな名所とコラボレーションしてフィーチャーできたと思います。去年10月のハロウィンタイミングでは、商店街のフラッグを作る試みなんかもやって、今までとは少し違った『コナン』の広げ方ができたんですよ。結果はフタを開けてみないとわからないですが、今はその手応えを感じていますね。
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近藤秀峰
株式会社小学館 国際メディア事業局 クロスメディア事業センター所属。「業火の向日葵」でアシスタントプロデューサー担当、「純黒の悪夢(ナイトメア)」以降、今作までプロデューサー担当。
寺島清晃
株式会社トムス・エンタテインメント 制作本部所属。「名探偵コナン」プロデューサーを担当。
汐口武史
読売テレビ放送株式会社 編成局アニメーション部所属。ドラマ・バラエティ番組などを担当し、21年6月より現職。
《作品紹介》
『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』
2022年4月15日公開
原作:青山剛昌「名探偵コナン」(小学館「週刊少年サンデー」連載中)
監督:満仲 勧 脚本:大倉崇裕 音楽:菅野祐悟
主題歌:BUMP OF CHIKEN「クロノスタシス」
声の出演:
江戸川コナン●高山みなみ 毛利 蘭●山崎和佳奈 毛利小五郎●小山力也 安室 透●古谷 徹 高木 渉●高木 渉 佐藤美和子●湯屋敦子 スペシャルゲスト●白石麻衣
配給:東宝
公式サイト:https://www.conan-movie.jp/
(C)2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
東京・渋谷である結婚式が執り行われていた。そこにはウエディングドレス姿の警視庁・佐藤美和子刑事の姿が! コナンや蘭たちが招待客として見守る中、突如暴漢が式場に乱入。必死に守ろうとする高木渉刑事の姿を見た佐藤刑事は、ふと3年前の連続爆破事件で殉職した松田陣平刑事のことが脳裏に蘇る。
時を同じくして、その連続爆破事件の犯人がなんと脱獄! これは偶然か否かーー。
公安警察の降谷零は、同期の松田刑事を殉職においやった犯人を問い詰めるが、そこでハロウィンの仮装の人物に首輪爆弾を着けられてしまうーー。
果たしてコナンたちは、この事件を解決できるのか!?