声優・中島ヨシキが味わう芸術の世界(3)重要文化財「自由学園明日館」に触れて感じたことの画像
中島ヨシキ

人気声優・中島ヨシキが近代建築の神秘に触れる企画が「声優MEN」で掲載中。その名も「中島ヨシキのART JOURNEY」。某日、東京・池袋にある「自由学園明日館」を訪問した中島は、歴史ある建築物に触れてみて、さまざまな気付きがあったようだ。

 

計算が生み出す神秘に中島ヨシキが感動

 

1921年に、アメリカ建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライトが弟子の遠藤新と建築した学校「自由学園明日館」を訪れた中島ヨシキ。この日は雨だったにもかかわらず、以前から興味のあった明日館に実際に足を踏み入れるということで、やや興奮気味。1997 年には国の重要文化財に指定され、大規模な保存修理工事が行われたこの建物は、どこかノスタルジックな雰囲気を漂わせていて、ホールに足を踏み入れると、吹き抜けになった空間を広さに中島は驚いていた。


最後に訪れた講堂は、最大で 272 人収容できるという講堂だが、1 階の長椅子は直線でデザインされたシンプルなもの。中島は一人で講堂内をゆっくり歩きながら、時折、長椅子に座って離れたところにいるカメラマンに目線を向ける。現在コンサート会場としても使用されているが、ここにはある計算が光っていた。なんと2階の客席に座ると1階の客席が隠れ、よりステージに集中できるのだ。自身も声優やアーティストとして、さまざまなステージに立ってきた中島は、この講堂を見て刺激を受けたようで、舞台のほうを見つめながら語る。「演者としても観客としても、すごく舞台を近くに感じますね。僕のような演劇にも身を置く人間には、非常に創造力が湧いてくる、考えさせられる構造の劇場です。こういう細部に工夫を凝らせるのは、設計者に観客と演者への敬意があるからだと思います」。


どこか神聖な空気すらある講堂で、静寂の中に雨音がかすかに聞こえ、それがまた心地よい。その時代を超えて生き続ける近代建築の美を通して、自らの感性を刺激された様子だった。

 

 さて、一日かけて明日館を探訪した中島は、「建築の成り立ちや、建築された当時の話を聞きながら巡ったからか、いろんな細部に人の想いを感じました。作った人、使った人の愛着や記憶が時代を越えて伝わってきて、もの作りに携わる人間ですからすごく感性を刺激されました」とコメント。2021年に建築100周年を迎えた、同館の芳醇な歴史が、作り手として中島ヨシキの記憶にしっかり刻まれた日になったようだ。

 

中島の建築探訪以外にも、アートにまつわるさまざまな体験を密着している「声優MEN 」の最新号「VOL.20」は10月に発売。ぜひチェックしてみてほしい。