富野由悠季監督vs福山潤 名言連発の白熱対談!(2)富野監督「声優業を死ぬまでやることの過酷さ」の画像
声優・福山潤(写真左)、富野由悠季監督(写真右)。

 10月22日に刊行される書籍『福山 潤 プロフェッショナルトーク』。そのスペシャル対談として、福山が対談を熱望した富野由悠季監督が登場。『∀ガンダム』での出会い以降、福山が恩師の一人と語る富野監督との「健康」をめぐる対話の一部を、ダイジェスト版でお届けしたい。

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■「このまま行くと潰れるぞ」と言われた意味

 

福山 『リーンの翼』でエイサップ・鈴木の役をいただけて。収録していく中で、あまり自分自身良い感触がないときがあって、収録が終わり、気落ちしてスタジオを出ようとしたんです。そうしたら、監督が「ちょっと待て!」と呼び止めてくださって、「このままいくと潰れるぞ。ずっと思っていたが、君は身体のことを無視しすぎている」と言ってくださいました。というのも、僕はそのときまさに身体を壊していて。そんなことも監督はお見通しだったんだな、と。以降、僕も身体を鍛えたり、体調を維持したりするようになりましたし、フィジカルの面を大切にしています。
富野 それを聞いて一つの話があります。一時期、古谷徹くん(『機動戦士ガンダム』アムロ・レイ役)が日焼けをし出したから、「どうしたの?」と聞いたら「サーフィンをやるようになりました」と言うわけ。それから彼が10年くらいサーフィンを続けていたら、古谷くんの身体が変わってきた。40代、50代になっても自分の声を維持しているんです。当時は理由がわからなかったけど、声優が仕事を続けるにはこれだけの身体の手入れをしているんだと。それでようやく僕にも彼らが変わらないための努力をしているのがわかりました。おそらく、一人の声優がアニメのシリーズものを何十年も演じ続けるということは映像史において前例のない、尋常じゃないことをやっているんだなと知りました。声優業を死ぬまでやることの過酷さを感じたわけです。
福山 まさにその過酷さを間近に感じています(笑)。

人間は「普通」を忘れてしまう生き物

富野 たとえば芝居をするうえで発声練習をやらないとしようがない。声優であろうとミュージシャンであろうと、身体を保ち、声を保つには手を抜いている暇はないんです。それは僕自身もそう。しかし、これから全く逆のことを言います。その必殺の言葉が、「健康であることに騙されるな!」。
福山 え、どういうことですか?
富野 健康体の人は物事の考え方がかなりずさんだからそう言うんです。体力があると思っているから、本当の危機に気付いている人がほとんどいない。人は自分が「普通」になったと思うと、本来の「普通」を忘れてしまう生き物です。
福山 なるほど。言われてみるとそうですね。

 

……現在も第一線に立ち続け、映画を作り続ける富野監督と、新人時代にその仕事に大いに触発された福山。二人の対話はどこへ向かうのか…。続きの白熱トークはぜひ本書籍で!

 

「福山 潤 プロフェッショナルトーク」(双葉社)は10月22日発売

 

■PROFILE
●福山潤 ふくやまじゅん
11 月 26 日生まれ、大阪府出身。 2007 年、初代声優アワード主演男優賞受賞。『無敵王トライゼノン』で初主演。代表作に『コードギアス 反逆のルルーシュ』(ルルーシュ・ランペルージ)、『吸血鬼すぐ死ぬ』(ドラルク)、『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』(スマット)、『Vivy -Fluorite Eye's Song-』(マツモト)、『暗殺教室』(殺せんせー)、『七つの大罪』(キング)など。近年はアーティストとしても活躍。

●富野由悠季 とみのよしゆき
1941年生まれ、神奈川県小田原市出身。アニメーション映画監督、作家。斧谷稔、井荻麟、井草明夫などの名義も持つ。日本大学芸術学部を経て、64年に手塚治虫率いる虫プロダクションへ入社。日本初の本格TVアニメ『鉄腕アトム』(63年〜66年)の演出を手掛け、虫プロ退社後はフリーとして活躍。72年に『海のトリトン』で監督デビュー。79年に『機動戦士ガンダム』の監督を務め、アニメブームを起こす。以来、『伝説巨神イデオン』(80年〜81年)、『聖戦士ダンバイン』(83年〜84年)、『ブレンパワード』(98年)、『OVERMAN キングゲイナー』(02年〜03年)などのテレビシリーズを手掛ける。映画監督としての代表作に『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(88年)、『機動戦士Zガンダム』3部作(05年、06年)など。現在、劇場版『Gのレコンギスタ』(19年〜)全5部作の劇場版の総監督、脚本を務める。近年は日本各地の美術館で「富野由悠季の世界」展が開催されている。

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