主人公が家族を殺した「鬼」と呼ばれる敵や鬼と化した妹を人間に戻す方法を探すために戦う姿を描く和風剣戟奇譚といえば、漫画家・吾峠呼世晴氏による大ヒット作『鬼滅の刃』（集英社）。第７０回ＪＵＭＰトレジャー新人漫画賞で佳作を受賞した投稿読切『過狩り狩り』を前身とし、２０１９年にｕｆｏｔａｂｌｅ制作によりテレビアニメ化もされ大ヒットを記録。
すでに連載は終了したが、人気は衰えを見せず、シリーズ累計発行部数は単行本２１巻の発売時点で８０００万部を突破。２０２０年１０月１６日から劇場公開予定の『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』への期待も高まりを見せている。
舞台は大正時代の日本。開国と文明開化から半世紀近くがたっており、和の中に洋が混在する独特の空気が流れる。都市部は発展しているが、地方部は前時代が色濃く残っている。廃刀令や科学文明の大正現代に夜に潜む鬼などいるわけがないなどの理由により政府不認可の鬼殺隊は表立った行動に制限がある、という設定で、スリリングなドラマが展開していく。また、敵方である「鬼」については身体破壊や人喰いなどのハードな描写が多いが、その一方で不死性をコミカルに描くような側面もあり人気の理由の一つとなっている。
このたび、そんな『鬼滅の刃』の熱狂的なファンで、作中のキャラクターに華麗に変身したコスプレイヤー５名が、『鬼滅の刃』の魅力を熱く語る座談会が都内某所で行われた。
今回の座談会に登場するのは、ＭＣも務めるＭ！Ｋｅさん（みけ、ｅはウムラウトつき）、悠莉さん（ゆうり）、コノミアキラさん、Ａｌｔｏ Ｔａｎａｋａさん（アルト・タナカ）、卯月悠那さん（うづきゆうな）の５人。コミケをはじめとしたさまざまな会場を股にかけるコスプレイヤーたちだ。
まず、悠莉さんがふんするのは主人公の竈門炭治郎（かまどたんじろう）。心優しい少年で、鬼となった妹を人間に戻すことと、家族の仇討ちのため鬼狩りの組織である鬼殺隊に入る。 嗅覚に長けており、鬼や相手の急所などの”匂い”を嗅ぎ分けることができるキャラクター。
Ｍ！Ｋｅさんは冨岡義勇（とみおかぎゆう）のコスプレで参加。鬼と化した炭治郎の妹・禰豆子（ねずこ）が炭治郎を襲う現場に現れたことで、炭治郎が戦いに身を投じていくきっかけを作る重要なキャラクター。
コノミアキラさんは我妻善逸（あがつまぜんいつ）のコスプレで参加。炭治郎らが赴いた鬼殺隊士の最終選別に同じくして立ち向かい、たった五人生き残った精鋭隊士の一人だ。
Ａｌｔｏ Ｔａｎａｋａさんは、産屋敷耀哉（うぶやしきかがや）のコスプレで参加。耀哉は鬼殺隊の最高管理者であり、鬼の総大将・鬼舞辻無惨（きぶつじむざん）と敵対する産屋敷の一族の９７代目当主。年齢は２３歳だが鬼殺隊の面々からは『お館様』と呼ばれるキャラで、異能とも言えるほどの強力な人心掌握術を駆使して隊をまとめ上げ、アクの強い‟柱”たちをも心服させる人物。
そして卯月悠那さんがふんするのは、今回、紅一点の女性キャラクター・産屋敷あまね（うぶやしきあまね）。産屋敷耀哉のお内儀（奥様）であり、耀哉との間には５人の子ども（五つ子）がいる。作中では、「白樺の木の精」と思うほどの美しい容姿の持ち主とされている。
第３回となる今回は、それぞれの推しキャラの魅力について熱く語った。
悠莉は推しキャラの煉獄杏寿郎（れんごくきょうじゅろう）についてあふれる愛を吐露。実はストーリーのごく一部にしか登場しない煉獄について、「何よりも男らしさが魅力」と話し、公開予定の映画では重要な役回りとなるこの煉獄が「スクリーンに映った瞬間に号泣します」と思いのたけを打ち明けた。
またコノミは「鬼滅の刃は“箱推し”になる」と力説。箱推しとは、作品の中の特定のキャラクターではなく作品全体が好きで応援することだが、「他のマンガと違い、敵も味方も、ちょっとした端役ですらすべて魅力的なので作品世界全体を“箱推し”してしまう」と解説。また、人気の発火点となったアニメの終わらせ方についても、「終わらせたポイントが絶妙。あれを考えた人は本当に頭がいい」と作者のみならず制作チーム全体を激賞した。
２０２０年もまったく衰えることのない『鬼滅の刃』ブームの中にあって、これを知っておけば明日から周りに一歩差をつけられる情報が満載の座談会となった。
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