■正直苦手な主人公だけど…

 ストーリーが進んでいくと正直、本当に正直言うと、僕はこの主人公苦手。いい子なんですよ? 明るいし優しいし。でも一生懸命考えた結果必ず誰か傷つけてる。母親の自殺がトラウマになっていて実は不安定で仕方ないって分かるんだけど。だから切ないんだけど。

 主人公ちょい苦手なのに僕がこの漫画オススメするのは、その主人公を好きな幼なじみの大吾と藤の2人がマジで最高。元気なイケメンとクールなイケメン。王道だけど最高。結局王道最高なんですよ、一生ピスタチオのアイス食べるやついないでしょ? 結局皆バニラに戻るんですよ、アイス食べられないから分からんけど。

 まず大吾。12歳で「俺が一生一緒にいてやる」ってすごい。俺12歳のとき、永遠にドッヂボールやってたと思う。あと友達と変なチャリの乗り方とか毎日考えてた。人間力がもう違う。中学高校と成長していく姿が見られるのですが、もうずっとステキだしピュア。時に不安定な杏に言うセリフもだいぶ深い。

 母親の自殺もテーマとして重いのですがクールイケメン藤もなかなか重い過去があって。

 塞ぎ込みがち&感じが悪い少年時代を明るく引っ張ってくれた杏を健気に思い続ける。でも大吾と杏が思い合っているのは分かっているから自分は一歩引いて東京の高校に行くことにするんです。

 カッコいい! 俺だったら絶対無理だ、めちゃくちゃな噂とか根も葉もない嘘とか流したりするな。

 このまま杏と大吾がハッピーエンドかと思いきや、そこに東京に住む父親が現れていろいろあって杏は高校三年間だけ東京に住むことに。あれ? ってことは大吾とは遠距離になって、今度は東京で藤が近くにいるよ? え? どうなっちまうんだい? と高校編が始まっていくんです。

 まだ16歳ですよ? 終わり28歳ですよ?

 すごく楽しませてくれる!

 28歳の杏は、はたして幸せになっているのか?

 僕個人的には20代編がとんでもないです。なんかグサグサ来ましたね、読んでるとき自分のことOLだと思い込みながら読んでたんですが「あー分かる、この感じ」とかつぶやきながら読んでました、その感じとかも皆さんと共有できたら嬉しいです。ラストに向けての疾走感や伏線回収、素晴らしいのひと言です。

 1人の少女から大人の女性になっていく杏の人生、そして大吾、藤も大人になっていく。16年間という感情移入するには十分長めの物語。これは涙なしでは見られません。

 ストレスが溜まって溜まってしょうがない方、涙活は本当にオススメですよ。まるで砂時計を眺めるようにゆっくり流れる物語を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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