■物語のエネルギーを伝える圧倒的画力

 シバタヒカリ先生の絵には「好き」があふれています。

 スッピン状態から、メイクを通して自分の可能性を感じ、どんどん輝きが増していく主人公たちのキラキラとした表情がこちらまでほおがほころんでしまうほど、非情にかわいく美しいです。

 この物語が伝えようとしている「想い」を表現する構成力。また、ブランドから懐かしのプチプラに至るまでのメイク用品の数々の忠実な描写。画面の細部まで見ていて楽しい気分になります。

 ご自身も、登場人物の漫画家の女の子同様、推しネイルをするというシバタ先生。日常から、何かを愛でることに特化した感性をお持ちだからこそ、登場人物たちを愛おしく描いているのがこんなにも伝わるのかも知れませんね。

 自分を知る勇気を持ったこの物語と、シバタ先生の相性が抜群なのも、この作品の大きな見どころです!

 社会人になったとたん、学生生活では禁止されていたにもかかわらず、「当然するもの」になっていたメイクたち。日常にあるものだからこそ、その見方が変わるのは大きなインパクトになります。

『だから私はメイクする』を読んだら、読者の方からこの言葉が漏れるでしょう……

「あれ?メイクってこんな自由で楽しんで良いものだったの?え?」

 良いんです、良いんです。

 私もずっとやりたかった、眉毛を緑色にしーようっと!

 ぜひ『だから私はメイクする』お読みくださいませ!

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