11月29日より公開されている劇場アニメ『HUMAN LOST 人間失格』。12月21日に、東京・渋谷のヒューマントラストシネマ渋谷で舞台あいさつが行われ、竹一役を務める声優の福山潤、ストーリー原案・脚本を手がけた小説家の冲方丁氏、監督の木崎文智氏が登壇し、本編でも印象的な竹一の生き様を語り尽くした。
太宰治の小説『人間失格』を原案とした同作は、昭和111年の近未来を舞台としたダークアクションアニメ。医療技術の驚異的進歩を経て、死を完全に克服し、超長時間労働のもと経済大国となった日本を舞台に、体内のナノマシンをネット管理されながら生きる人々を描く。福山が声を担当する竹一は貧困エリア“イチロク”の暴走集団のリーダー。
原案の『人間失格』では主人公・葉蔵の道化を見抜くものの暗く貧弱なキャラとして描かれていたが、『HUMAN LOST』ではそれとは違いクールなリーダーとして活躍する。脚本を手がけた冲方氏は映画版・竹一のイメージについて、「コザキユースケさんのデザインが上がってきたときに髪がツンツンしてたんですよ。あとは、竹一は葉蔵(CV:宮野真守)が死んでるときに電話する役ってことで、“もしも~し? 人が死んでんですけど~?”っていうセリフがあるんです。あれでキャラが決まったような感じがしますね」とキャラ造形の経緯を振り返った。
それを受けて福山は、「あそこが創造の起点になったんです」「キャラクターが分かりやすいセリフで、その後がすごくやりやすくなった」と告白。今作は声優のセリフを先に収録するプレスコが用いられたが、それについて「プロデューサーさんとかから“竹一すげー好きなキャラなんでハッチャケてやってくださいよ!”って言われてたんです。なので“やっていいんだな”と思って楽しくやらせていただいたんです」と収録の雰囲気を明かした。
木崎監督から「それであのアドリブが?」とツッコミを受けると、福山は「僕の中ではアドリブをやったという印象はないんですけど」と否定しつつ、テンションが上がったと告白。
冲方氏が「脚本を書いたときの僕の中のイメージとまったく違っていたんで、監督が全部書き直したのかと思った。上をいかれた気がしましたね」と福山の演技を絶賛すると、福山は共演の宮野真守、櫻井孝宏らの収録を聴きながら「現場で聴いて、“これならハッチャケてやっても邪魔にならないな”っていう信頼感があったんです。なのでテストでやってみて、“あれ? 何も言われないし、もしかしてこの感じでいいのかな”って思ってそのまま本番に向かったら“ざまあ見さらせ!”だとかをいろいろやり初めてしまったんです。いつもの僕の悪癖なんですけど」と話して会場中を笑わせた。