『サザエさん』カツオへの「廊下に立ってなさい」は教育?体罰? 議論勃発の画像
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 現在でもたびたびニュース番組で報道され、世間を騒がせている子どもへの“体罰”問題。12月15日に放送されたアニメ『サザエさん』(フジテレビ系)の定番シーンが「これは体罰では?」と物議を醸した。

 議論を呼んだのは、1本目に放送された「カツオ18Kの人」というエピソード。これは、道端で「18K」と書かれた腕時計を拾ったカツオが持ち主を探すという話。Kを頭文字だと勘違いしたカツオが、警察官に「ケイって人で、年齢は18歳です」と伝えると、奇遇にも落とし主の女性のプロフィールと合致していた。

 時計を拾ってもらった美容師見習いの圭さんは、お礼としてタラちゃんの髪を切ることに。磯野家に圭さんが訪れる日がやってくると、カツオは学校で授業を受けながら彼女への思いを馳せる。しかし授業中、様子がおかしいカツオに対して教師は「磯野、何をそわそわしてるんだ!」と注意。カツオが「はい、答えは18Kです!」と的外れな返答をしてしまうと、先生は「廊下に立っていなさい!」と叱責。結局カツオはその日廊下に立たされ続け、「帰ってよろしい」と声をかけられたのは放課後のことだった。

 サザエさんでは定番の「廊下に立ってなさい」というセリフだが、現代にはふさわしくない描写だと見た視聴者が少なからずいたようで、放送中にはネット上で「今の時代だったら間違いなくアウト」「へたしたら体罰描写」「そろそろ廊下に立たせる演出はやめたほうがいい」「今時こんなシーンを流せるのはさすが」といった声が上がった。

 また一方で擁護する意見もあり、「昔はよく立たされたな、いつも立ってるメンツ一緒だった」「今の小学校じゃありえんけど懐かしい風景」「これぐらいは教育の範疇だと思う、あっていい」「カツオの鉄板シーンだけど、体罰が話題になったばっかりだしタイミングが悪いな」といったコメントもあった。

「『サザエさん』といえば、いまだに黒電話を使用するなど昭和の風景が見られますが、スカイツリーが登場したりとあくまでも設定は現代のようです。50周年を迎えた今も、昔と変わらぬ磯野家のドタバタが描かれていますが演出には少しずつ変化が見られています。代表的な例では波平がカツオにゲンコツを食らわせるようなシーンは最近ではほとんど見られなくなりましたね。とはいえあくまでもアニメ作品ですし、登場人物のトンチンカンな行動も『サザエさん』の魅力のひとつです。廊下に立たされるカツオが見られなくなると、寂しがるファンは多そうです」(アニメライター)

 12月3日には厚生労働省が体罰の定義をまとめた指針案として「体罰等によらない子育てのために(素案)」を公表し、体罰の具体例として「長時間の正座」や「夕飯を与えない」といった項目を挙げたばかり。カツオが廊下に立たされる描写は『サザエさん』の名物シーンではあるものの、いささかタイミングが悪かったのかもしれない。