ファミコン芸人として知られるフジタの著書『ファミコンに育てられた男』(双葉社)が6月22日に発売となる。
2LDKの自宅と倉庫に3万本ものソフトを持つというフジタが「ファミコンに育てられ、ファミコンで殺人を踏みとどまり、ファミコンに生かされ、今もファミコンと生きる」という、その半生をつづった同著。
1983年7月の発売以降、1000以上のタイトルを打ち出してきたファミリーコンピュータだが、後世に語り継がれる名作だけでなく、ちんぷな内容から「クソゲー」とレッテルを貼られてしまったソフトもしばしば。豊富なファミコン知識がたっぷり詰まった『ファミコンに育てられた男』から、フジタが選んだ「クソゲー」を抜粋して紹介したい。
■これは絶対クソゲー!! ランキングWORST5
●第1位『ゴーストバスターズ』
発売日:1986年9月
発売元:徳間書店
価格:4500円
僕の中では不動の“モースト・バリュアブル・クソゲー”ですね。ゴーストをバスターしない、できない、何をして良いかも絶対に分からない、ただただ車でレースするゲーム。ボスとの最終戦のみシューティングゲームが味わえますが、ボス面まで辿り着くことは、どんな些末な攻略情報でもネットで拾える情報化社会ならいざ知らず、基本自力しかなかった当時では不可能でしょう。完全無欠のクソゲーだと断言できます。
第2位『ミシシッピー殺人事件』
発売日:1986年10月
発売元:ジャレコ
価格:5200円
小2の頃、僕が初めて床に叩きつけたゲームです。名作『ポートピア連続殺人事件』をイメージしてジャケ買いしてしまった自分を恨みました。殺人事件に出会う前に自分が死体になります。良い子のファミコンなのに「ばいしゅんふ」と画面に出てきたり、一度言った事は二度と言ってくれない「もういいました」システムに驚き呆れました。「もういいました」と検索すると、いまだにトップでこのゲームが出ます。
第3位『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』
発売日:1986年11月
発売元:バップ
価格:4900円
ドラクエ風のRPGで音楽も名曲だし、昼夜の概念をドラクエより早く採用した作品でしたが、何の説明もなく周りが海に囲まれた島から始まり、まず何をしていいか分からないという状況に陥ります。敵も仲間も街も何もなく、ただただ歩いていると餓死! 過酷な環境下で働かされ精神が崩壊した製作スタッフの隠れメッセージも組み込まれています。気になる人は「なかじまかおる」で検索してみてください……。
第4位『シャーロック・ホームズ伯爵令嬢殺人事件』
発売日:1986年12月
発売元:トーワチキ
価格:5000円
これもジャケ買いして騙されたゲームです。いったい誰が、渋いシャーロック・ホームズのジャケットから、ロンドンで住民を蹴り殺してお金を強奪する鬼畜なシャーロック・ホームズが主人公のアクションゲームを想像できるでしょうか。しかも、コンティニューに必要なIIコン操作をめぐり説明書に嘘が書いてあります。2作目からは、ジャケットから連想できる推理アドベンチャーに戻しましたが遅いっつーの!
第5位『タッチ』
発売日:1987年3月
発売元:東宝
価格:4300円
原作が好きであればあるほど、泣き崩れるほどの衝撃を受けます。甘酸っぱい恋愛シミュレーションとは程遠く、車やロボットを相手にたつや&かずやが戦うゲームです。原作に沿っているのは武器がボールなことくらい。それでいて、最強のパスワードが「みなみにHしてしまいました」という悪意を感じざるを得ないので、あだち充先生がブチ切れて、以降、存在自体が抹消されているいわくつきゲームです。
関東圏では6月19日に発売となる『ファミコンに育てられた男』。「クソゲー」に苦い思いをしたことがある人は、手にとってみてはいかが。
フジタ
1977年7月21日、東京都出身。ファミコン芸人。幼少期からゲームにハマり、これまで購入したゲームは3万本以上。高校を中退して、お笑い芸人の道へと進み、今はゲームの知識を生かして活動している。最近は、ユーチューブにも動画をアップしている他、ゲーム好きのファン向けに「フジタ宅ツアー」を行うなど、活動を多彩化している。