あと10話見たい…ドラマ『告白-25年目の秘密-』が完結しても尾を引いてしまう理由 異常でヤバイのに不思議な清涼感【かんそうの週刊ドラマレビュー】の画像
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 人気ブロガーのかんそうさんが毎週1回『ふたまん+』にてお送りする、ドラマへの熱い“感想”。夏ドラマも次々に最終回を迎える中、今回取り上げるのは松村北斗主演の『告白-25年目の秘密-』(日本テレビ系)。25年間、一人の女性に片想いし続けてきた男を描いた本作は、事前には想像できなかったほど、不思議な魅力を醸し出すドラマとなったようです。そのすべてをかんそうさんが総括します!

 

 ドラマ『告白-25年目の秘密-』が終わってしまった。

 終わった瞬間、部屋の中で一人「まだ25年足りないだろ」とつぶやいた。近年でも屈指の名作だった。下手をすれば「25年ストーカードラマ、気持ち悪いので途中で見るのやめました」で終わるはずの企画が、最後までクオリティを落とさず走り切った理由を、感想として吐き出しておきたい。

 まず、松村北斗演じる「雪村爽太」に生理的な嫌悪感がない。これにつきる。

 普通、25年監視してSNSをこっそりフォローして会社まで潜り込む男をテレビで見せられたら、視聴者は「風呂入ってから出直してこい」となる。なのに松村北斗の清潔感が全部を上書きする。目がきれいすぎて、犯罪スレスレの行動が「青春」に見える。血がついてようが暗がりに立っていようがなぜか洗濯洗剤のCMが流れてきそうな顔をしている。この顔があるせいで、「純愛か狂気か」という問いが成立する。

 北斗がいなければ、ただの「人間の服を着た胸糞」だった。清潔感という名の免罪符。強すぎる。

 麻里子もまた変すぎる。爽太もヤバいが、麻里子も十分ヤバい。

 普通のヒロインなら、25年監視されていた事実を知った瞬間に警察へ走るだろう。なのに岡崎紗絵が演じる麻里子は、最終的に爽太を受け入れてしまう。少女漫画脳が強すぎる。自分の周りで人が死に、誘拐され、母の死の真相まで出てくるのに「この人、私のことずっと見てくれてたんだ」で心が動く。これは普通じゃない。

 爽太がヤバいなら、それを受け止める側も同じくらいヤバい。二人揃って「人間関係の正常値が壊れている」カップルである。だから成立する。片方が普通だったら、もう片方はただの危険人物で終わる。変な者同士の共依存。美しいのか、怖いのか、もうわからない。

 あとは、友也(塩野瑛久)と泉(佐々木希)の安心感の異常さだ。

 普通のドラマなら、親友枠のどちらかは「実は麻里子が好き」「実は爽太を利用している」フレネミーになる。視聴者もそれを待っている。なのにこの二人は、最後の最後まで爽太と麻里子の最大の味方であり続ける。

 塩野瑛久と佐々木希が、ただの安全装置として機能している。事件が起きても、秘密がバレても、二人は「お前らアホすぎるけど応援するわ」の姿勢を崩さない。この安心感が、本編の狂気を支えている。全員がおかしかったら視聴者が先に死ぬ。友也と泉が「正常人枠」として残っているから、爽太と麻里子の異常さが際立つ。友情という名の保険。地味に革命的である。

 そしてこのドラマ最大の発明、玉山鉄二の佐倉である。

 爽太のストーカー行為の何倍もヤバい殺人犯。25年前に麻里子の実母を殺し、今また麻里子に歪んだ愛情を向ける。絶対に結ばれない。なのに勝手に敵を殺してくれる。爽太より先に手を汚す。爽太より先に壊れている。当て馬なのに当て馬を超えている。恋愛のライバルではなく、狂気の先輩である。

 爽太が「まだ自覚のあるストーカー」なら、佐倉は「もう自覚のない殺人者」だ。この差があるから、爽太が相対的にピュアに見える。佐倉がいなければ、爽太はただの凶器だった。玉山鉄二が演じたことで、佐倉は「人間の服を着た胸糞」から「人間の服を着た、もっと濃い胸糞」になった。デカすぎる。当て馬ドモホルンリンクル。何年使っても色あせない。

 この四つが噛み合った結果、ドラマは最後まで落ちなかった。「気持ち悪い」で離脱させず、「次はどう壊れる」で引き止められる。松村北斗の顔、岡崎紗絵の受容、親友二人の健全さ、玉山鉄二の破滅。バランスが狂っているのに、全体としてはバランスが取れている。奇跡です。

 ただ一点、不満がある。爽太と麻里子のイチャイチャが少なすぎる。25年待たせておいて、本編で届く甘い時間が少なすぎる。「まだ運命の人じゃない」で終わるのはわかる。わかるが、腹が立つ。あと1話、いや10話足りない。アフターストーリーとして『告白 ー25年間のイチャイチャー』を放送してほしい。

 さんざん飲んだあと、深夜のコンビニでアイス買って公園で食べる回。朝、通勤の弁当を一緒に買う回。友也と泉が「やっとかよ」と遠くからニヤニヤ見てる回。佐倉は出なくていいです。出たらまた人が死ぬ。

 

■著者プロフィール
かんそう
ブロガー・ライター・作家。北海道の片隅で意味不明な文章を綴る長男。
著書に『書けないんじゃない、考えてないだけ。』『推すな、横に並んで歩け』がある。

 

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