アニメ『BLEACH 千年血戦篇』(原作:久保帯人氏)も最終クールに突入し、物語はいよいよクライマックスへと向かっている。
本作の魅力は多岐にわたるが、中でも死神たちの持つ斬魄刀の存在は欠かせない要素のひとつ。これまで数多くの激しいバトルが描かれてきたが、その戦いの行方を大きく左右してきたのが、斬魄刀に備わったさまざまな能力であった。
そこで今回は、それらの能力を知らずに挑めば苦戦必至の、特に強烈な能力を持つ「初見殺し」の3本の斬魄刀を振り返っていきたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■防御した瞬間、罠にハマる…吉良イヅルの「侘助」
まず挙げるのは、護廷十三隊・三番隊副隊長・吉良イヅルの斬魄刀「侘助(わびすけ)」だ。解号は「面を上げろ『侘助』」。始解すると刀身の先端が鉤状に折れ曲がり、数字の「7」のように見える独特の形状へと変化する。
その能力は、「斬りつけた対象の重さを倍にする」というシンプルなものだ。しかし、一度斬れば2倍、二度なら4倍、三度なら8倍と、斬られるたびに武器や体はみるみる重くなっていく。
やっかいなのは、侘助を相手にすると“攻撃を防ぐ”という当たり前の行動さえ罠になってしまう点だ。相手の攻撃を自身の刀で受け止めれば、その刀自体が斬られた対象と見なされ、重さが倍加される。防御しているつもりが、気づけば自分の武器を持つことすらままならなくなるのだ。
その恐ろしさがよく分かるのが、コミックス第20巻で描かれた松本乱菊との戦いだ。乱菊は侘助の攻撃を刀で七度防いだ結果、もともと約0.8kgだった刀の重さは、2の7乗、すなわち約102.4kgにまで増加。ついには刀を構えることすらできなくなり、刀は足場となっていた屋根を大きく破壊するほど地面に叩きつけられた。
さらにコミックス第38巻におけるアビラマ・レッダー戦では、侘助の「初見殺し」ぶりがより鮮明に描かれる。能力を知らないアビラマは自身の翼で攻撃を防ぎ続けたが、翼は斬られるたびに重さが増していく。やがて飛ぶこともできなくなり、地面へと墜落。身動きが取れないまま、最後は鉤状の刀身で首をはねられて敗北した。
ちなみに「侘助」という名前は、重さに耐えきれなくなった相手が、まるで“詫びる”かのようにひざまずき、頭を差し出すことから名付けられたという。また、首が落ちるように花が散る椿の品種「侘助」にもちなんでおり、椿の花が丸ごと落ちる姿と、相手の首を斬り落とすという不気味な能力が重なるネーミングとなっている。
■戦いのルールまで変えてしまう…京楽春水の「花天狂骨」
続いては、護廷十三隊・八番隊隊長(後に総隊長)である京楽春水の斬魄刀「花天狂骨(かてんきょうこつ)」だ。解号は「花風紊れて花神啼き 天風紊れて天魔嗤う『花天狂骨』」。始解すると二刀一対の姿に変化する。その能力は、“童の遊びを現実にする”という、他に類を見ないものである。
たとえば、「影鬼」では影を踏んだ者が勝ちとなり、「嶄鬼(たかおに)」ではより高いところにいる者が有利になる。子どもの頃に誰もが一度は親しんだであろう遊びのルールが、生死をかけた戦いの場に組み込まれてしまうのだ。しかも、そのルールは京楽自身にも適用されるため、自身も命がけで「遊び」に参加しなければならない。ふざけたように見えて、その実、かなり癖の強い能力なのである。
印象的だったのが、コミックス第43巻、破面第1十刃、コヨーテ・スタークとの戦いで登場した遊び、「艶鬼(いろおに)」だ。
互いに色を指定し、その色がついている範囲だけを攻撃できるというルールであり、単純な斬り合いとはまったく違う、知略と機転が試される攻防が展開された。スタークほどの実力者だったからこそ、このルールに即座に適応し、京楽に食らいつくことができたのだろう。
しかし、花天狂骨の真の恐ろしさは、相手の戦闘能力の次元すら超越する点にある。
コミックス第71巻で対峙した、星十字騎士団・親衛隊のリジェ・バロは、銃口と標的の間にあるものをすべて等しく貫通する「万物貫通(ジ・イクサクシス)」というすさまじい能力を使って京楽を追い詰める。
だが、どれだけ規格外であろうと、花天狂骨の生み出した「遊び」のルールからは逃れることができず、まったく対応できなかった。最終的にリジェ・バロが、影から伸びた刀に背後から貫かれたのは、その象徴的な場面だろう。


