■大事な人に訪れた悲劇にともなう交代劇…『超時空要塞マクロス』
1982年放送の『超時空要塞マクロス』では、ふいに物語中盤で主役機の交代劇が描かれています。
スタジオぬえの原作、アニメーション制作をタツノコプロとアニメフレンドが担当した本作は、可変戦闘機「バルキリー」のリアルな戦闘描写、歌と三角関係を絡めたドラマなどにより、ロボットアニメに新風をもたらしました。
超大型要塞艦「マクロス」に乗り込んだ人類が、異星人ゼントラーディと戦う物語が描かれます。地球統合軍のエースパイロットであり、スカル大隊を率いるロイ・フォッカーは、主人公の一条輝が実の兄のように慕う存在でした。
しかし第18話で、その絶対的な男の終わりは突然やってきます。激しい戦いの末、無傷で帰還したように見えたフォッカー。彼は恋人クローディアの部屋を訪れ、彼女の手料理のパインサラダを待ちながらソファーでギターを奏でます。
何気ない日常シーンに思えましたが、次の瞬間彼は床に倒れ込み、静かに息を引き取ります。フォッカーは戦闘中に背中に致命傷を負っており、恋人の待つ部屋でまさかの最期を迎えたのです。
続く第19話、輝は尾翼にドクロマークが特徴のフォッカーの愛機「VF-1S(通称:ロイ・フォッカースペシャル)」を譲り受けます。それまで輝が乗っていた「VF-1J(J型)」は味方のミスで失っており、負傷していた輝はフォッカーが亡くなった戦いには参加していませんでした。「一度も撃墜されたことがないっていつも自慢してたのに、機体だけ遺して逝っちまうなんて……」という、輝のセリフにやるせなさがにじんでいたのが印象的でした。
『マクロス』の場合、派手な機体大破による主役機交代とは異なりますが、予想もしなかった喪失感とともに主役機が変わる展開は、視聴者の胸に深く刺さりました。先達の遺志と愛機をそのまま受け継ぐこの描写は、新たな世代交代を感じさせるドラマとして忘れられないシーンとなったのです。
前触れもなく、主人公が乗る機体が終わりを迎える場面は、いろいろなかたちで当時の視聴者に衝撃をもたらしました。昭和のロボットアニメにおいて、主役機交代は大きな転換点であり、視聴者にとっては忘れがたいシーンだったのです。
皆さんの記憶に残る主役機交代シーンには、どのようなものがあるでしょうか。


