“鋼鉄のヒーロー”がまさかの大破…昭和ロボットアニメ「残酷すぎる主役機交代」の記憶【昭和オタクは燃え尽きない】の画像
DVD「ゲッターロボ VOL.3」(東映ビデオ) (C) ダイナミック企画・東映アニメーション

 子どもの頃、ロボットアニメの主役機は、悪を倒す“正義の象徴”であり、絶対的な無敵の存在でした。どれほどの窮地であっても主役機さえくればひと安心。地球や仲間たちのピンチを颯爽と救ってくれるヒーローの勝利を、幼かった筆者は微塵も疑っていませんでした。

 そんな昭和のアニメ黎明期のある日、これまで無敵の強さを誇ってきた主役機が破壊されるシーンを目の当たりにしてショックを受けたことが忘れられません。毎週信じて疑わなかった鋼鉄のヒーローが、ある日突然、見るも無残な姿になって敗れるという残酷な現実を突きつけられたのです。

 そこで今回は、当時のお茶の間の視聴者を呆然とさせた、衝撃の主役ロボット交代劇を振り返ってみたいと思います。


※本記事には各作品の核心的な内容を含みます。

■「鉄の城」がズタボロ…あまりにも非情な世代交代が描かれた『マジンガーZ』

 パイロット搭乗型ロボットの元祖と呼ばれる『マジンガーZ』は、1972年12月からフジテレビ系列で放送され、約2年近く(全92話)にわたってファンを熱狂させた人気番組です。原作を永井豪先生とダイナミックプロが担当し、東映動画(現・東映アニメーション)がアニメ制作を手がけました。

 本作は、天才科学者・兜十蔵が遺した巨大ロボ「マジンガーZ」に、孫の兜甲児が乗り込み、世界征服を企む悪の科学者Dr.ヘル率いる機械獣軍団と激闘を繰り広げるロボットアニメです。

 光子力研究所のプールの地下からマジンガーZが登場するシーンや、ホバーパイルダーがマジンガーの頭部に「パイルダーオン!」する合体シークエンスは、当時の子どもたちを毎週ワクワクさせてくれました。

 マジンガーZは「ブレストファイヤー」をはじめとするド派手な必殺技を持ち、物語の途中からは空中戦に対応すべく「ジェットスクランダー」と合体。飛行能力を得ることで唯一の弱点を克服し、たとえ傷つきながらも必ず勝利する頼もしい存在でした。

 しかし、その絶対の信頼は、非情なかたちで打ち砕かれます。第91話で甲児たちは敵の本拠地・地獄島に向かい、マジンガーZはボロボロになりながらも宿敵Dr.ヘルを撃破。誰もがハッピーエンドを確信した状態で、最終回(第92話)を迎えます。

 どれだけダメージを受けても、次の回がくれば修理されてピカピカになっている機体は、なぜか傷だらけのまま。甲児も包帯姿で、どこか不穏な空気が漂います。そこに突如、新たな敵「ミケーネ帝国」の戦闘獣2体が光子力研究所を襲撃。満身創痍の甲児は、いまだ修復の終わらないマジンガーで決死の出撃を行うのです。

 とはいえ、仲間の窮地に主役機が駆けつけ「これで安心」と胸を撫で下ろしたのも束の間、そこから始まったのは目を覆いたくなるような惨劇でした。マジンガーZ自慢のロケットパンチはあっさり破壊され、大空を舞うための翼も破壊。空から引きずり降ろされると、2体の戦闘獣によって一方的に蹂躙されたのです。

 マジンガーの腹部は貫かれ、血まみれの甲児は悲痛な叫びをあげます。物悲しい曲をバックに訪れた信じ難い絶望的なシーンに、視聴者は恐怖に打ちひしがれるしかありませんでした。

 もはや光子力研究所が破壊されるのも時間の問題と思われた時、颯爽と現れて戦闘獣をあっさりと一蹴したのが、謎の新型ロボ「グレートマジンガー」でした。

 新型機が現れたとしても、弓さやかがアフロダイAからダイアナンAへと乗り換えたように、てっきり甲児が乗り換えるものだと思っていました。それなのにグレートマジンガーと呼ばれた機体に乗り込んでいたのは、知らない人物(剣鉄也)。

 主役機が敗れて交代するだけでなく、甲児が主人公の座まで奪われるという、あまりにも残酷な世代交代が描かれ、昭和キッズに消えないトラウマを刻んだのです。

■「燃えさかる主役機」に涙した切なすぎる結末…『ゲッターロボ』

 『マジンガーZ』と並んで昭和キッズを熱狂させたのが、1974年4月からフジテレビ系列で放送された『ゲッターロボ』です。こちらも永井豪先生・石川賢先生とダイナミックプロが原作を担当し、東映動画がアニメを制作。3機の飛行メカ(ゲットマシン)が状況に合わせて3つの形態に変形・合体する、斬新なギミックに誰もが夢中になったロボットアニメです。

 流竜馬、神隼人、巴武蔵の3人が、恐竜帝国のロボット軍団と戦う物語で、その最終決戦(第51話)では、あまりにも壮絶な結末が描かれました。

 恐竜帝国が誇る無敵戦艦ダイを前に、ゲッターロボは歯が立ちません。唯一残された手段は、ロケット弾を装着したゲットマシン3機をドッキングさせ、ダイの無防備な瞬間を狙って叩き込むという作戦でした。

 しかし武蔵は、この大切なドッキング時に痛恨のミス。ダイの猛攻を浴びたゲットマシンは炎上して大破、竜馬と隼人も負傷して戦えなくなります。その原因を作った武蔵だけが無事という、視聴者側の胃も痛くなるような絶望的な状況に陥るのです。

 こうして、これまで地球を守ってきたゲッターロボは、合体すらできずに撃破されてしまいました。

 頼みの綱であるゲッターを失い、早乙女研究所に残されたのは支援戦闘機「コマンドマシン」のみ。自身の責任を痛感した武蔵は、コマンドマシンのパイロットである早乙女ミチルを気絶させ、彼女の代わりにコマンドマシンに乗り込んで決死の出撃を敢行します。

 しかし、ダイの攻撃でロケット弾の発射を阻止された武蔵は、コマンドマシンごとダイの口に突入。機体はダイの内部で大爆発を起こし、武蔵は凄絶な最期を遂げました。

 この爆発で制御を失った戦艦ダイは、そのまま恐竜帝国の本拠地に向かって暴走。帝王ゴールもろともすべての敵を壊滅させます。つまり主役機ではなく、武蔵が己の命と引き換えに単独で恐竜帝国を壊滅させるという、とんでもないラストでした。
 
 そして、さらに衝撃を受けたのが、続編である『ゲッターロボG』の第1話です。平和が戻った早乙女研究所では、燃えさかるゲッターロボの前に武蔵の遺影と献花を並べ、まさにお通夜のような状況。

 炎に包まれてドロドロ崩れ落ちていくゲッターロボは、武蔵とともにその役目を終えて消えていくように見えました。主役ロボごと戦友を弔うという、あまりにもダイナミックな葬儀シーンが忘れられません。

 そんな別れの傷が癒えぬまま、物語は非情なほどの速度で展開されます。本編では新たな敵「百鬼帝国」が急襲し、武蔵に代わる新メンバー・車弁慶と新型機が登場。そして新型ロボ「ゲッターロボG」の圧倒的なパワーがお披露目されました。

 しかし、当時はまだ武蔵がいなくなった喪失感が大きく、ゲッターロボGの活躍を見ながら、置いていかれたような寂しさを覚えたものです。

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