1983年の連載開始から40年以上が経過した現在も、色あせない魅力を放ち続ける『北斗の拳』(原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏)。今年4月に放送が始まった完全新作アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』では、現代の映像技術でよみがえる熱き漢(おとこ)たちのドラマに夢中になった人も多いだろう。
本作には、主人公・ケンシロウをはじめとした数多くの魅力的なキャラクターが登場する。その中でも、南斗六聖拳「義星」の宿命を背負う男・レイは、絶大な人気を誇るキャラクターの1人だ。
彼はただ強いだけでなく、ケンシロウにとってかけがえのない頼れる友であり、殺伐とした世界の中で「愛」と「義」を体現したキャラクターでもあった。
今回は、そんなレイのあまりにも美しく、切なく、そしてカッコ良すぎる生き様について振り返ってみたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■初登場は極悪人!? 南斗の恐ろしさも印象づけた強敵(とも)
今でこそ“最高にいいやつ”というイメージが定着しているレイだが、初登場時は強烈な“悪役”のイメージがあった。
レイが初めて登場したのは、コミックス第3巻に収録されている「南斗の男!の巻」である。全身を布で覆い女性に変装した姿で現れたレイは、襲いかかってきたザコたちに「食料はもっているのかい?」と聞き、あると分かったとたん、「南斗水鳥拳(なんとすいちょうけん)」で容赦なく八つ裂きにしてしまうのだ。
その後マミヤの村に現れた際も、リンから「あの人の目は人を助けるような人の目じゃない!!」と怯えられ、バットにも「あのツラァ~~大悪党のツラだ!!」と言われるほど、不気味な雰囲気を漂わせていた。
当初のレイは、連れ去られた妹・アイリを救うためならば手段を選ばない、非情でミステリアスな存在であった。切り裂いた敵の返り血を浴びながら不敵に笑うその姿は、「北斗神拳」とは対極に位置する「南斗聖拳」の華麗かつ冷酷な恐ろしさを読者に強く印象づけたことだろう。
しかし、村を守るために全力で戦うマミヤや、弱き者を救うために戦い続けるケンシロウに出会ったことで、レイの心境は徐々に変化していく。そしてケンシロウと共闘して無事にアイリを救い出せたことで、彼は真の友情に目覚め、大切な人たちのために戦う「義星」の戦士としての道を歩み始めるのである。
■南斗の男で最多の登場回数! ケンシロウと旅を共にした「もう1人の主人公」
『北斗の拳』には、レイのほかにも「南斗六聖拳」の伝承者が登場し、それぞれが強烈な個性を放っている。しかし物語における登場期間を調べてみると、レイの出番が最も長い。
レイはコミックス第3巻で初登場してから、牙一族との死闘、ラオウとの激突、そして命のタイムリミットを迎える第10巻の「ユダ編」まで、実にコミックス約8巻分にわたって物語の中心にあり続けた。
比較対象となる、殉星のシン、妖星のユダ、仁星のシュウ、聖帝サウザーといった、ほかの南斗六聖拳の使い手たちは、登場シーンから散り際までがコミックスにしておよそ1〜2巻程度で描かれていることが多い。
これを踏まえると、名実ともにレイはケンシロウの“相棒”であり、ある意味、物語前半における「もう1人の主人公」とも呼ぶにふさわしい活躍を見せた。
レイはユダとの戦いを終えた後、ラオウに突かれた秘孔「新血愁」が原因でこの世を去り、その後のストーリーに登場することはなかった。しかし、ファンの間では「もし別の形で再登場していたなら……」と長年語り継がれるほどで、レイというキャラクターがいかに時代を超えて愛されているかが分かる。
レイ推しの筆者としても「もし彼がよみがえるとしたら、どのように復活するのだろう」と、今も勝手に想像して楽しんでいる。


