“かませ犬”じゃない…!? 『聖闘士星矢』で過小評価されがちな「白銀聖闘士が秘めていた真の実力」桁外れの能力にずば抜けた育成力も…の画像
「<初回生産限定>聖闘士星矢THE MOVIE Blu-ray BOX 1987~2004」(東映) (C)車田正美/集英社・東映アニメーション (C)「聖闘士星矢 天界編 序奏 ~overture~」製作委員会

 1985年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載が開始された、車田正美氏の名作『聖闘士星矢』。ギリシア神話をモチーフに、星座をイメージする聖衣(クロス)をまとった聖闘士(セイント)たちの熱き戦いを描いた作品だ。

 本作の物語では、主人公であるペガサス星矢をはじめとする「青銅聖闘士(ブロンズセイント)」や、最高位に君臨する12人の「黄金聖闘士(ゴールドセイント)」の活躍が目立つ。

 しかし、その2つの階級に挟まれ、やや影が薄い存在となっているのが「白銀聖闘士(シルバーセイント)」である。

 白銀聖闘士はマッハ2〜5の速度で動き、青銅聖闘士をはるかに凌駕する実力を持つ、まぎれもない強者であった。しかし作中では、主人公たちの成長を際立たせるための存在に見られることが多く、その真の実力は見過ごされがちだ。

 今回は、そんな白銀聖闘士たちが秘める、過小評価されがちな本当の凄さについて迫ってみたい。

 

※本記事には作品の内容を含みます。

 

■実は主人公たちを全滅寸前まで追い詰めていた…恐るべき能力

 そもそも白銀聖闘士はとんでもなく強い。物語の序盤から中盤にかけて、彼らは星矢たち青銅聖闘士を幾度となく絶望の底に突き落とし、全滅寸前まで追い詰めるほどの強敵として立ちはだかった。

 その筆頭が、蜥蜴(リザード)星座のミスティだ。星矢が初めて本格的に対峙した白銀聖闘士であり、「神よ わたしは美しい…」と自らの美貌に酔いしれるナルシスト。だが、その実力は本物だった。

 両手を高速旋回させて作り出す空気の防御壁は鉄壁であり、初戦では自ら一滴の血も流すことなく、星矢を赤子同然にあしらって圧倒した。

 最終的には星矢が「ペガサスローリングクラッシュ」を放って辛くも勝利したが、戦いを見守っていた黄金聖闘士の牡羊座(アリエス)のムウも「実力が違いすぎる」と評したように、その強さは絶望的ですらあった。

 ペルセウス座のアルゴルの攻撃もまた、恐ろしいものだった。彼が装備する「メドゥサの盾」は、その姿を見た者を一瞬で石化させてしまう。

 彼に挑んだキグナス氷河やアンドロメダ瞬といった実力者たちは、なすすべもなく石化されてしまった。そして、ドラゴン紫龍も左半身を石化されて絶体絶命の危機に陥るが、最終的に紫龍は自ら両目を潰すという壮絶な自己犠牲を払い、ようやくアルゴルを打ち破った。

 しかし、一歩間違えれば青銅聖闘士チームはここで全滅していてもおかしくなかった。それだけ凶悪で圧倒的な能力を持ったメンバーが、白銀聖闘士にはそろっていたのである。

■魔鈴やダイダロスに見る、青銅聖闘士を導いた優れた育成力

 白銀聖闘士が優れていたのは、個人の戦闘能力だけではない。星矢たちの才能を見抜き、立派な聖闘士へと育て上げた「指導力」の側面も忘れてはならない。

 指導者としてまず思い出すのは、星矢の師匠である鷲星座(イーグル)の魔鈴だ。

 彼女は7歳の星矢をギリシアの聖域で引き受け、腹筋1000回や巨大な岩を砕くといった過酷なスパルタ修行を課した。その一方、人体の構造図を使いながら敵との戦い方を教えるなど、理論的な指導もおこなっている。こうした魔鈴の的確な指導があったからこそ、星矢は必殺技である「ペガサス流星拳」を体得できたのである。

 瞬の師匠であるケフェウス星座のダイダロスもまた、素晴らしい指導者であった。彼はその誠実な人格とたしかな実力により、多くの聖闘士から慕われていた白銀聖闘士だ。

 修行最終日には瞬が自ら「サクリファイス」の試練に挑み、見事にアンドロメダの聖衣を手にする。ダイダロスは、戦いを嫌う瞬が内に秘めていた強大な小宇宙とその才能を認め、彼を一人前の聖闘士として温かく送り出すのであった。

 このように、白銀聖闘士の偉大な指導者たちによる育成がなければ、青銅聖闘士たちの壮大な伝説が始まることはなかっただろう。白銀聖闘士こそ、物語の裏側で作品を支えた陰の立役者なのである。

 

 青銅聖闘士と黄金聖闘士という、あまりに強烈で圧倒的な二大階級の陰に隠れがちな白銀聖闘士たち。しかし、彼らの活躍をあらためて見つめ直すと、主人公たちを全滅寸前まで追い詰めたり、星矢たち青銅聖闘士を立派な戦士へと育て上げたりと、その実力は計り知れない。

 単なる「かませ犬」と思われがちな白銀聖闘士だが、次に作品を読み返すときは、ぜひ彼ら白銀の戦士たちの熱き生き様と功績にも注目してほしい。

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