■四肢の動きを奪う神経毒に経皮毒まで!? 上弦の伍・玉壺
「刀鍛冶の里編」では、「上弦の鬼」が2体同時に登場する。霞柱・時透無一郎が戦ったのが、上弦の伍・玉壺だった。「十二鬼月」の中でも特に異形の鬼である玉壺は、自身の血鬼術で壺から異形の化物を生み出し、刀鍛冶の里を壊滅させようと目論む。
そんな玉壺も、複数の毒を用いる鬼である。血鬼術「千本針魚殺」は、壺から生み出した金魚に無数の毒針を吹き出させる攻撃だ。この針に当たっても即死することはないが、ゆっくりと四肢の自由を奪っていく神経毒であり、無一郎を大いに苦しめた。
身体能力が飛躍的に上昇する「痣」の発現により、無一郎は毒に侵されながらも戦い続けることができた。本来なら「千本針魚殺」を受けた時点で戦闘不能に陥っていてもおかしくなかった。
さらに、血鬼術「一万滑空粘魚」も毒攻撃の1つである。鋭い牙を持つ1万匹もの粘魚を放つこの技は、たとえすべてを斬り伏せたとしても、粘魚が撒き散らす体液が経皮毒として作用する。つまり、斬った際に体液を浴びるだけで毒の影響を受けてしまう手強い技だった。
無一郎はとっさに「霞の呼吸 参ノ型 霞散の飛沫」を繰り出し、すべてを弾き飛ばしたが、彼のように周囲を一度になぎ払う技がなければ、致命傷になりかねない危険な攻撃である。
「痣」の発現という土壇場の覚醒により、無一郎は玉壺に勝利したが、からくも勝利をおさめた後に泡を吹いて倒れてしまう。それは、玉壺の毒が彼の体を限界まで蝕んでいた証拠といえるだろう。
この玉壺戦は、あらためて「上弦の鬼」が使う血鬼術の多様性と脅威を知らしめるものとなった。
鬼たちが用いる毒は多種多様で、人間を蜘蛛へと変えてしまうものから、掠っただけで致命傷となる猛毒、そして身体の自由を奪う神経毒まで、その特性もさまざまだ。しかも、強力な鬼であるほど、毒を自身の戦闘技術に巧みに組み込み、鬼殺隊を幾度となく窮地へと追い込んでいる。
そんな多様な毒に侵された隊士たちを治療してきたしのぶは、毒のスペシャリストとして着実に成長してきたのだろう。彼女の研究の集大成ともいえる童磨との決戦が、来る「無限城編 第二章」でどのように描かれるのか、一ファンとして心待ちにしたい。


