■ドラマチックな展開と伝説のキスシーンが話題となった「劇場版」

 1979年に公開された劇場版第1作『銀河鉄道999』の結末は、原作漫画やテレビアニメ版よりもドラマチックに描かれた。ちなみに、本作で鉄郎の容姿がハンサムになっているのは、従来の10歳という設定から15歳に変更されたからである。

 本作の終着駅は惑星プロメシュームではなく、「機械化母星メーテル」とされている。そこで2人は、人間を機械の部品として星を構築しようとする女王プロメシュームと対峙。この最終決戦には、宇宙海賊キャプテン・ハーロックや女海賊クイーン・エメラルダスといった松本零士作品のスターたちも登場し、壮絶な戦いが繰り広げられた。

 やがて母星を崩壊させた鉄郎とメーテルは、壊れゆく惑星から脱出し地球へと帰還する。このまま幸せに暮らせる……と思いきや、メーテルは地球にとどまらず、自分の生身の体が安置されている冥王星へと孤独な旅に出ることを決意する。

 その別れ際、メーテルは鉄郎にそっと口づけをし、「私はあなたの少年の日の心の中にいた青春の幻影」という言葉を残す。その後、メーテルが乗る列車を鉄郎が必死に追いかけるシーンは、今見返しても涙してしまうほど切ない。

 劇場版ではメーテルの体の秘密にも触れられており、彼女が本来の自分の体を取り戻すために鉄郎と別れるという理由が描かれた。そのラストは、伝説のキスシーンとともに美しくも切ない結末として、今もファンの心に深く刻まれている。

 

 いずれの結末においても、鉄郎はメーテルとの別れを経験し、機械の体ではなく、かぎりある命を持つ生身の人間として生きていくことを選択した。本作は、旅を通じて少年が精神的に大きく成長し、自立を遂げる物語であり、同時に「永遠の命とは何か」「人間らしさとは何か」を問いかける内容でもあった。

 劇場版ではラストシーンの収録中、鉄郎役の声優・野沢雅子さんと、メーテル役の池田昌子さんが感極まって泣き出し、録音が一時中断されたという逸話も残されている。演者の心を揺さぶるほどの感動的な結末は、不朽の名作『銀河鉄道999』を象徴しているといえるだろう。

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