人気ブロガーのかんそうさんが毎週1回『ふたまん+』にてお送りする、ドラマへの熱い“感想”。今回のテーマは、夏ドラマの“ダークホース”との呼び声も高い『大空港~GATE24~』(テレビ朝日系)。空港を舞台に、税関と入管のスペシャルユニット「GATE24」の奮闘を描く本作の、「お仕事ドラマ」の枠にとどまらない魅力を語り尽くします!
ドラマ『大空港~GATE24~』(テレビ朝日系)が面白い。
俺の身体が空港のベルトコンベアに乗せられてぐるぐる回ってる状態です。税関と入管の寄せ集めスペシャルユニットが密輸・偽装・人身売買を水際でバチバチ食い止めたりする話なんですけど、ただの「お仕事ドラマ」じゃありませんでした。
まず、主人公・森万智を演じる趣里。脳みそがスーツケースの中に入ってるような人間。コミュニケーションの距離感が壊滅している。完全にバグってる。荷物を拭き続けたり、周囲の会話を無視してひたすら観察したり、普通に職場でやってるのに「この人、どうやって今まで生きてきたんだ? 親は何してたんだ? 学校の先生は気づかなかったのか?」ってなる。
でもモノだけは異常に読める。相棒の杉下右京っぽいって声もあるけど、趣里の場合はもっと内向的で静かで、だからこそ異常性が際立つ。右京さんが「論理」で解くなら、万智は「モノが語る」感覚で解く。見てて飽きない。
眞栄田郷敦の早見圭一郎がまたいい。エリート入国審査官で、法とデータで人を見るキャリア官僚。最初は「現場なんか知らん」顔してるのに、徐々に揺らぎが出てくるのがたまらん。板垣李光人の松山篤志との凸凹も最高。最初は「入管と税関」でバチバチやってるのが、事件を通じて「このチームでやらなきゃ」って空気になっていく過程が自然すぎて、見てるこっちが勝手に「頑張れよお前ら」って応援してる。
齊藤京子の遠藤のぞみもヤバい。超がつくほどの情報収集力と緻密なリサーチで証拠を即座にはじき出す。チームの空気を柔らかくする役割なのに、ただの「かわいい枠」じゃなくてちゃんと仕事してるのが好感度爆上がり。齊藤京子は、日向坂46卒業後の俳優としての覚醒がすごい。「今どき女子」って設定が全然チャラくなくて、冷静な判断力と実務能力で縁の下の力持ちになってる。
柳葉敏郎の深澤然は優しいお父さん的存在で安定感抜群だし、松雪泰子の杉原美都里はチームの生みの親として存在感があって、ベテラン枠がしっかり支えてるのも安心材料。奥貫薫の玉井淳子は笑顔で地獄耳のベテラン税関職員って役がハマりすぎてて、情報屋ポジションとして便利に使われすぎてないのもいい。田辺誠一の空港長や吹越満の刑事が「邪魔な対立勢力」ポジションで配置されてる感はあるが、それがGATE24の「実験的な試み」を際立たせてるから、現状では必要悪として機能している。
脚本は『下町ロケット』『半沢直樹』(TBS系)も手掛けた丑尾健太郎。事件のテンポが良くて、第1話の偽装夫婦どんでん返しや、第2話の爆破予告からの過去事件、第3話の密輸ウサギと子どもの親権問題とか、空港ならではの「制度と人情の衝突」がちゃんと描かれててサクサク見られる。ただの事件解決じゃなくて、法律や条約、縦割り行政の壁がリアルに絡んでくるし、派手なアクションゼロなのにハラハラするし、どんでん返しもちゃんと効いている。
キャラクターにちゃんと血が通い始めてるし、チームが徐々にまとまっていく過程に愛着が湧いてくる。万智の過去がまだ謎のままだったり、早見の秘密がチラつき始めたり、松山の誇りが事件で揺らいだりと、個々の葛藤が自然に絡んできてるのがいい。
テレ朝木曜の定番路線として十分戦えるし、個々の葛藤や過去がもっと深く描かれていけば、もっと化ける予感しかない。このままチームの化学反応が加速すれば、今年の夏ドラマ有数の一本になりそう。
GATE24が本当に「最強の門番」になっていく過程を、ちゃんと見届けたい。そして俺はもう、空港に行くたびに荷物をジロジロ観察する男になりそうです。税関の人に「この人、怪しいです」って通報される日も近いかも。万智さん、俺の脳みそも検査してください。
■著者プロフィール
かんそう
ドラマを愛するブロガー・ライター・作家。北海道の片隅で意味不明な文章を綴る長男。
著書に『書けないんじゃない、考えてないだけ。』『推すな、横に並んで歩け』がある。


