■“最強バディ”が織りなす最後まで目が離せないストーリー

 『リコリス・リコイル』は終盤に向かうにつれて、電波塔事件にまつわる千束の過去、彼女に人工心臓を提供した謎の支援組織アラン機関、凶悪犯罪者の真島との因縁がひとつの線として見事に集約していく。

 アラン機関のエージェント・吉松シンジは、千束の殺しの才能を世界のために役立ててもらうために彼女に心臓を提供した。そして真島も、同じ理由でアラン機関から支援を受けていたひとりで、その因縁も最終決戦を盛り上げる要因となった。

 また、千束は天才的な殺しの能力を持つ一方で、「人を殺さない」という信念を貫いている。そんな千束の気持ちを知るにつれて、相棒であるたきなの心情が大きく変化していくのだ。

 第3話ではたきなを励ますために、「私は君と会えてうれしい!」と笑顔で素直な気持ちを投げかけた千束。続く第4話では、今度はたきなが千束を元気づけるために「さかな~」のモノマネポーズをとって精一杯の心遣いを見せる。

 そうした心のふれあいを通じて、当初はDAに戻りたがっていたたきなの心境にも変化が表れ、いつしか千束は「何としても生きていてほしい大切な人」となっていた。その心情がストレートに表れたのが、千束が生きるために必要な改良型人工心臓を自らに埋め込んだ、アラン機関の吉松を殺そうとするたきなの行動だ。

 吉松が立ち去るのを見て「心臓が逃げる!」と叫んだ場面は、彼女の必死な想いが凝縮された名シーンである。性格は正反対の2人がかけがえのない相棒へと成長し、互いの存在が救いとなっていく姿は、このアニメの最大の見どころといっても過言ではない。

■作品が残した数々の反響

 放送当時から大きな反響を呼んだ『リコリス・リコイル』だが、その人気ぶりはSNSや商品の売上といった数字面にもはっきりと表れていた。

 第10話では余命を宣告された千束が、ミズキやクルミを自分の問題に縛りつけまいと「喫茶リコリコ」の閉店を決意。公式SNSが「閉店のお知らせ」を投稿すると、約半日で10万件超の「いいね」を集めるなど、作品世界と現実を連動させた仕掛けも大反響を呼んだ。

 また、スピンオフ小説『リコリス・リコイル Ordinary days』(電撃文庫)は、発売前に二度目の重版が決定し、10万部に到達するという異例のヒットを記録。さらにBlu-ray第1巻は初週2.1万枚を売り上げ、テレビアニメジャンル作品の初週売上として2022年度最高の数字を記録した。

 最終回の第13話が放送された翌週には、放送されていないはずの「リコリコ14話」がTwitter(現X)でトレンド入り。架空の第14話の感想や続きを待ち望む投稿が相次ぎ、熱烈なファンの強い想いが“存在しない記憶”を生み出すという珍現象を引き起こした。

 放送翌年には、クランチロール・アニメアワード2023で「最優秀オリジナルアニメ賞」を受賞。公式Xのフォロワーは、放送開始から約2か月で10倍となり、回を重ねるごとに人気と注目度を急速に高めていった。

 

 2025年には、喫茶リコリコの新たな日常を描いた全6話のショートムービーが配信され、現在は新作アニメーションも制作中。いまだに愛され続けるオリジナルアニメの傑作は、今度どのような展開を見せるのか。続報を待ち望むファンの期待は尽きない。

 

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