アサウラさんのストーリー原案をベースにA-1 Picturesが制作したオリジナルアニメ『リコリス・リコイル』。2022年夏に放送された本作は、事前の認知度はそれほど高くなかったものの、放送されるやその圧倒的なクオリティに魅了される視聴者が続出した。
オープニングで蹴り合う千束とたきなのシーンや、ここぞの盛り上がりで流れる故・さユりさんによるエンディングソング「花の塔」はファンを魅了。衝撃的なストーリー展開は毎週のように話題になり、最終回までその勢いはとどまることを知らなかった。
本稿ではそんな空前の大ヒットを記録した『リコリス・リコイル』の魅力を、放送当時の盛り上がりや名シーンとともに振り返りたい。
※本記事には『リコリス・リコイル』の核心的な内容を含みます。未視聴の方はご注意ください。
■個性豊かで愛着の湧くキャラクターが勢ぞろい!
『リコリス・リコイル』は、犯罪を未然に防ぐために孤児を養成する治安維持組織「DA」に所属する少女エージェント“リコリス”たちの活躍を描いた作品。多くの視聴者を惹きつけた大きな要因のひとつとして、物語を彩る個性派キャラクターたちの存在が挙げられる。
中心となるのは、歴代最強と称される天才リコリス・錦木千束(にしきぎ・ちさと)と、命令違反を理由に「DA」本部から「喫茶リコリコ」への転属を命じられた井ノ上たきなのコンビ。千束は自由奔放でテンションが高く、一方のたきなはクールな合理主義者だ。
2人の性格の違いは日常での掛け合いにもよく表れている。人懐っこく距離を詰める千束に対し、たきなは戸惑いながらも淡々と応じる。テンションも物事の受けとめ方も異なるふたりの会話はテンポがよく、何気ない日常シーンも飽きさせない。
また、彼女たちの周りにも味のあるキャラクターがそろっている。千束とたきなが働く「喫茶リコリコ」の店長で、「DA」の元訓練教官でもあるミカは、ふたりを温かく見守る父親のような存在。さらに「DA」の元情報部員で、お酒を手放せない残念美人の中原ミズキもいる。
また、命を狙われて「喫茶リコリコ」に身を隠すことになった凄腕のハッカー少女・クルミの有能さと生意気さのギャップも愛おしい。喫茶リコリコのメンバーが交わす日常の軽口や、戦いの場で見せる家族のような絆は、視聴者から支持された大きな要因といえるだろう。
■親しみやすい日常パートと完成度の高いガンアクション
『リコリス・リコイル』のもう1つの魅力といえるのが、スタイリッシュでスピード感あふれる戦闘アクションと、「喫茶リコリコ」を中心に繰り広げられる、ほほ笑ましい日常パートのギャップだろう。
第5話では、人工心臓で生きる千束の鼓動を確かめようと、たきなが胸に耳を当てる場面が話題となった。いつも元気な千束が落ち込んだとき、たきなが何気なく寄り添って、2人の心の距離が縮まっていくシーンは心が和む。
また、たきなが大まじめに考案した新メニュー「ホットチョコパフェ」もSNSを中心に話題に。臭ってきそうな色とフォルムを見て、喫茶リコリコのメンバーは「ウン……」と言葉を詰まらせる愉快な日常が描かれた。
一方で、戦闘アクションの完成度も圧巻である。千束は卓越した洞察力により、相手の射線や発砲のタイミングを瞬時に見抜いて銃弾を紙一重でかわすことができる。最小限の動きで敵の銃撃を避けつつ、至近距離から非殺傷弾をくらわせるシーンは迫力満点で、そんな千束を正確な射撃でフォローするたきなとのコンビは、攻守において隙がない。
特にテロリストグループのリーダー・真島との旧電波塔での戦いは、シリーズ屈指の名シーンだ。巧みに相手の銃撃をかわす千束と、常人離れした聴力で相手の位置を捉える真島の駆け引きに加え、千束の窮地に駆けつけたたきなとの連携も大きな見せ場となった。


