■呪いを終えた、たたりちゃんが書く切ない願望日記

 本作は復讐をテーマにしたホラー漫画でありながら、読んだ後は切ない余韻が残る。その理由は、たたりちゃんが呪いで復讐を果たしたとしても、完璧なハッピーエンドで終わることは少ないからだ。

 復讐後も別の生徒から逆恨みでいじめられたり、助けたはずの虫が殺虫剤で殺されたりと、救いのないラストを迎えるエピソードもよく見られる。

 また本作は、たたりちゃんの書く日記形式で語られる点も特徴的だ。いじめを受けた日の日記の最後は、悲しい現実とは裏腹に、彼女の願望をつづる言葉で締めくくられる。

 たとえば、絵麻という少女にいじめられ、これからも友だちにはなれそうもないのに「ちょっぴりいじめられたりもしたけれど 絵麻さんとはこれからも仲よくやっていけそーだと 日記には書いておこう」とまとめたり、クラスメイトから袋叩きにあった日ですら「学校はきょうも平和だったーーと 日記には書いておこう」とつづるのだ。

 このようにたたりちゃんは、呪いでいじめっ子たちに復讐しても、自分が望むような“普通の友だち”ができるわけではない。1人の加害者を排除しても、次の日にはまた新たないじめと孤独な生活が待っているのである。

 本作は単純な勧善懲悪の物語ではなく、いじめという連鎖が続く残酷な社会の縮図を描いた傑作といえるだろう。

 

 『不思議のたたりちゃん』は、いじめという社会問題や、人間の心の闇を浮き彫りにした異色の少女漫画だ。

 そして本編では、最後までいじめられっ子であるたたりちゃんだが、実はその物語は続いている。続編『ママ友はたたりちゃん ~親同士のイジメ・カースト・マウンティング~』では、大人になって結婚し、一児の母となったたたりちゃんが、理不尽なママ友トラブルを「たたり~」の呪いで次々と解決していく姿が描かれている。

 いつの時代も尽きることのない人間関係の悩み。時代は変わり、なおも前を向き続けるたたりちゃんの物語は、今日もまた誰かを救っているのかもしれない。

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