■前代未聞! 「提供画面」でのホラー演出『見える子ちゃん』

 『見える子ちゃん』は泉朝樹氏の漫画作品で、2018年より『ComicWalker』(KADOKAWA)にて連載が開始された。ある日突然、異形の存在が見えるようになった女子高生・四谷みこが、恐怖に震えながらも「見えていないふり」を貫いて日常を送るホラーコメディである。

 同作は2021年にアニメ化されたが、通常のエンディングで流れるのは、四谷みこ役の声優・雨宮天さんが歌う「ミタナ? ミタヨネ?? ミテルヨネ???」という曲。最終話では、みこが友人のハナたちと学校生活を送るシーンとともに、いつもの曲が流れた。

 それまでのエンディングと映像こそ異なっていたが、最終回で日常シーンが流れるのはアニメではよくあることで、視聴者も感傷に浸りながら見ていただろう。

 しかし、最後の提供の画面にて「この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りいたしました」というアナウンスが流れた直後、画面がノイズとともに激しく崩れて不気味な映像へと変化する。

 まるでテレビそのものが怪異に侵食されたかのようなホラー調の演出が突如挿入され、最後は幽霊が画面越しに「ミエル?」と問いかけて終了した。本編が終わったと思って気を抜いていた多くの視聴者は、この数秒間の恐怖演出に大きな衝撃を受けたはずだ。

 当時のSNSでも「最後の画面で鳥肌が立った」「油断していたら一番怖い演出がきた」といった反応が寄せられていた。ホラー作品らしく、最後の最後まで視聴者の心をザワつかせる巧妙な仕掛けは、『見える子ちゃん』らしさを象徴する演出として今なお語り継がれている。

■殺戮劇がもたらした作中屈指のトラウマ回『グノーシア』

 『グノーシア』は、プチデポットが手掛けた同名タイトルのSF人狼系シミュレーションアドベンチャーRPGを原作とするアニメ作品だ。宇宙船内に紛れ込んだ人類の敵「グノーシア」を探し出すため、乗員たちが議論と投票を繰り返す心理戦が魅力の物語である。

 主人公のユーリは、何度も同じ時間をループしながら事件の真相へと迫っていく。ミステリーとSF、推理と裏切りが複雑に絡み合う独特の世界観が高く評価された。

 そして視聴者が戦慄を覚えたのが、むじゃきだが言葉を話さず、不思議な雰囲気を漂わせる少女・ククルシカに焦点が当たった第8話「留守番」でのこと。この回のループは、レムナンとククルシカが“留守番”を務め、2人とも人間であることが確定していた。

 議論の結果、ククルシカの提案で“留守番”役以外の全員をコールドスリープさせることで決着し、見慣れたエンディングが流れて今回のループが終わるかと思われた。しかしエンディングの途中で音声と映像が激しく乱れ、鉄パイプを持った血まみれのククルシカによる殺戮が始まったのだ。

 通常よりもエンディングに入るタイミングが早かったこともあって、「8話終わるの早いと思ったらこれよ」「パニックホラーが始まった」と視聴者は騒然。そして、必死に脱出を試みるユーリにククルシカが迫り、そのループはバッドエンドを迎えるのである。

 このループのククルシカはグノーシアではなかったものの、人間でもない“何か”であることが示唆されており、その伏線は後に回収されることとなる。「ククルシカ騒動」と呼ばれるこのエンディングで起こった殺戮劇は、『グノーシア』屈指のトラウマシーンとなった。

 

 アニメならではの“特殊エンディング”は、本編の余韻や衝撃をさらに増幅させる重要な演出であることが多い。そこには、視聴者をより楽しませたいという制作者の想いが詰まっていた。作品をより深く味わいたいなら、エンディングまでしっかりと見届けることも必要なのかもしれない。

 

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