青山剛昌氏による『名探偵コナン』(小学館)は、今年でテレビアニメ放送30周年を迎えた大人気作品だ。毎年ゴールデンウィークごろに公開される劇場版も大きな話題を集め、ファンにとって劇場作品の公開は恒例の一大イベントとなっている。
そんな劇場版アニメでは、その作品だけのゲストキャラも登場。テレビシリーズ以上にスケールの大きな事件が描かれるため、物語の鍵を握るゲストキャラが、レギュラーキャラを食うほどの鮮やかな活躍を見せることも少なくない。
そこで今回は、劇場版だけにしか登場しないのが惜しいと感じた“超有能な逸材”たちを紹介していこう。
※本記事には作品の核心的な内容を含みます。
■コナンの正体を突き止めたアイリッシュ
劇場版だけのゲストキャラには、黒ずくめの組織のメンバーも多い。中でも、劇場版13作目『漆黒の追跡者』に登場したアイリッシュは、主人公・江戸川コナンにとって脅威となりうるほど、有能な人物だった。
アイリッシュは松本清長警視に変装して行動するうちに、コナンと高校生探偵・工藤新一が同一人物なのではないかという疑問を抱く。そして、小学校と高校に忍び込んで両者の指紋を照合し、正体をつきとめてしまうのだ。
この勘の鋭さと、素早く裏を取った行動から、アイリッシュが相当優秀な人物であることが伝わってくる。しかも彼は、頭脳だけでなく戦闘能力も素晴らしかった。
東都タワーに松本として被疑者確保に向かったアイリッシュは、そこで本性を現す。彼は同行していた刑事数名をあっさりと倒すと、自身の正体に気付いたコナンを力技で追い詰めた。
その時、アイリッシュとまともに戦えるのは毛利蘭しか残っておらず、コナンは絶体絶命の危機に陥る。そしてアイリッシュは、それまで何人もの凶悪犯を制圧してきた蘭にも圧倒的な実力差を見せつけるのだった。それまで人間離れした戦闘能力を誇ってきた蘭が、手も足も出ないことに驚いたファンも多かったはずだ。
その後、警察に包囲されたアイリッシュは、ジンたちに見切りをつけられ、銃撃を受ける。だが重傷を負った自分を必死で助けようとするコナンの姿に、アイリッシュは心を動かされる。そして、再び行われた狙撃からコナンを守り、「工藤新一…いつまでも追い続けるがいい…」と言い残して息絶えたのである。
敵ながら、あまりにもカッコ良すぎるアイリッシュの最期にしびれたファンは多いことだろう。できればここで命を落とすことなく、ベルモットと同じようにコナンを陰ながら支えつつ活躍してほしい逸材だった。
■圧倒的な頭脳・身体能力を誇るキュラソー
アイリッシュと同じく、黒ずくめの組織のメンバーであるキュラソーも、かなり魅力的なキャラだ。劇場版20作目『純黒の悪夢』に登場したキュラソーは、冒頭で安室透、赤井秀一とのカーチェイスの末、海に落ちた衝撃で記憶を失ってしまう。
その結果、自身の目的や素性を忘れ、コナンたち少年探偵団と出会ったことで、「普通の女性」として楽しい時を過ごす。そして子どもたちと心を通わせ、彼らを守るという思いを強く抱くようになるのだ。
そんなキュラソーの持つ能力は人並外れたものだった。特筆すべきは凄まじい記憶能力で、カードを使うことでなんでも記憶することができるうえ、道具に頼らずとも単純に見たものを瞬時に覚える能力を持っていた。作中では、小嶋元太がうっかりバラバラにしてしまったオセロもすぐに元通りに戻していた。
さらに身体能力の高さも人間離れしている。彼女が記憶を失う前のカーチェイスでは、あらゆる物の動きが見えているかのように自由自在に車を操っていた。また、元太が観覧車乗り場で高所から転落した際も、すかさず受け止めて救出している。判断力、瞬発力、身のこなし、それらすべてがトップクラスといってもいい。
そしてキュラソーは物語終盤で元の記憶を取り戻すが、それでも組織に戻ろうとしなかった。子どもたちとのあたたかい交流を経て、「前の自分より今の自分の方が気分がいい」と思うようになったのである。
その後、少年探偵団の乗った観覧車がジンたちによって破壊されそうになった時、彼女は自ら囮となって致命傷を負う。さらに、脱輪して転がりだした観覧車を止めるため、力を振り絞って重機で突っ込んでいった。その結果、少年探偵団は救われたが、キュラソーは観覧車の下敷きとなり、命を落とした……。
最後は組織のメンバーとしてではなく、1人の人間として大切なものを守って散ったキュラソー。コナンと灰原哀を除く子どもたちが、彼女の最期を知らないままなのも切なく、やるせない気持ちにさせられた。


