ドラマ『田鎖ブラザーズ』物語の核は「4つの復讐劇」…本編終了後に残った「未解明の謎」の画像
ドラマ『田鎖ブラザーズ』ポスタービジュアル(C)TBS

 6月19日に最終回を迎えたドラマ『田鎖ブラザーズ』(TBS系)。ついに田鎖真(岡田将生さん)と稔(染谷将太さん)の両親を殺害した真犯人が明らかになり、その残酷すぎる真実には多くの視聴者が衝撃を受けたはずだ。

 また、ラストの展開に解釈の余地が多く残されていることもあり、SNSなどでは完結後もさまざまな考察が繰り広げられている。そんな中、注目を集めているのが、最終話の回想シーンに一瞬だけ出てきた「とある声」の存在だ。

 

※本記事にはドラマ『田鎖ブラザーズ』全話の内容を含みます。

■常に復讐の裏にいる「秦野小夜子」の目的は?

 最終話では、田鎖兄弟の幼なじみ・足利晴子(井川遥さん)が彼らの両親を殺害した真犯人だったという事実が明らかになった。その動機は、兄弟の父親・田鎖朔太郎が銃を持ち帰ったのが原因で、辛島金属工場と五十嵐組の取引が成立せず、そのせいで晴子の父親が殺害されてしまったこと。つまり“復讐”だった。

 そして、晴子が当時のことを振り返る回想シーンでは、父を失ってふさぎ込む彼女に対し、「晴子さん、気分転換に読んでみたら?」と植物図鑑を差し出す誰かの姿が。晴子はその植物図鑑で「ジギタリス」の毒性成分について知り、それを利用して田鎖夫妻を殺害することを思いつく。

 声を聞いた時点で察した人は多いはずだが、エンドロールに「渡辺真起子(声)」との表記があり、晴子に植物図鑑を渡したのは市役所・福祉健康課相談支援係の相談員・秦野小夜子(渡辺真起子さん)だと発覚した。まさかの「黒幕」の正体に、視聴者の間では「怖すぎる」「こんな前から暗躍を…?」といった動揺の声が上がった。

 思えば、本作では“復讐”を動機とした事件が多く描かれてきたが、秦野はそのほとんどに関与している。

 まずは、大学入試における採点ミスとその隠蔽をした大学理事長・一条栄介が殺害された事件。犯人は受験生の母親・成田温子で、薬局で勤務していたことを利用して「薬の飲み合わせ」を利用し、被害者を殺害した。秦野は相談に来た成田に「調剤ミス 63歳女性死亡」という新聞の記事を見せ、言葉巧みに犯行へと誘導したとみられる。

 次に、ある女性を交通事故(不起訴)で死亡させた西浦綾香が、交通事故死に見せかけて殺害された事件。犯人は、事故死した女性の夫である自動車整備士・宇野孝道で、彼は西浦の自動車に細工して一酸化炭素中毒死させていた。そして、このトリックの元ネタは、秦野が彼に勧めた推理小説の中にあった。

 最後に、宇野が西浦の婚約者・我妻拓海にビルの屋上から突き落とされた事件。これだけは前2つの事件とはちがい、トリックの元ネタとなる「モチーフ」はない。宇野が警察の捜査を恐れて逃走を図ったため、我妻を復讐に向けてじっくり誘導する時間がなく、急遽2人をビルの屋上に呼び出して犯行に至るよう仕向けた。結果としてはこのときの焦りが綻びを生み、秦野は逮捕されることとなった。

 この3つの事件に加え、最終話にて晴子の“復讐”にも関与していたと明らかになったことで、秦野が実に31年前から殺人教唆に手を染めていたことがうかがえる。なにげない会話から犯行へと導く手法が、この頃から完成していたと考えると恐ろしい。秦野は真にもマインドコントロールを試み、“復讐”を促そうとしていた。そのことを思えば、作中で描かれた第1の事件──息子を自殺に追い込まれた野上昌也の復讐にもかかわっているのでは? と勘ぐってしまうほどである。

 秦野がなぜここまで“復讐”にこだわるのか、その理由ははっきりと語られていない。真に対しては「大切な人を奪われた遺族だけが、なんで、苦しみ続けなければならないんでしょうね」などと寄り添うような姿勢を見せているが、西浦と宇野の件のように「復讐の復讐」を唆しているあたり、実は遺族の苦しみなどはどうでも良いのかもしれない。

 逮捕時、秦野は「きっとあなたは私に会いに来ると思うけどな」と意味深な言葉も残している。大学で犯罪心理学を専攻していたという彼女が殺人教唆を続けた理由、それこそが本作最大の「未解明の謎」だろう。

 視聴者の間にさまざまな余韻を残した『田鎖ブラザーズ』のラスト、あなたはどのように受け止めただろうか。

 

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