岡田将生さんと染谷将太さん演じる「田鎖兄弟」が両親殺害事件の真相を追うドラマ『田鎖ブラザーズ』(TBS系)。回を追うごとに、兄弟の身近な人間が抱える「重大な秘密」が匂わされ、人物相関図が入り組んでいくと同時に、ほぼ全員が怪しく見えてきてしまっている状況である。
そんな中、第7話であらためて注目を集めたのが、兄弟の幼なじみでもある足利晴子(井川遥さん)の存在だ。何かと意味深な描写や謎めいた部分が目立つ彼女について、これまで出てきた情報をあらためて整理していきたい。
※本記事にはドラマ『田鎖ブラザーズ』第7話までの内容を含みます。
■小池との意味深なやりとり
第7話では、真(岡田将生さん)の上司である青委警察署刑事課強行犯係係長・小池俊太(岸谷五朗さん)が、晴子の営む質店を訪れた。これまで接点が描かれてこなかった2人だが、どこか険悪な雰囲気で、ただならぬ因縁を感じさせた。しかも、それは「田鎖家一家殺傷事件」に端を発するようだ。
会話の中で、小池は「あの事件の日、なんで田鎖の家の前にいた」と晴子を問いつめている。
晴子は30年前に田鎖夫妻が殺害された夜、不幸にも田鎖家の前を通りかかり、犯人らしき人物に切りつけられて怪我を負った。
ただ、そのときの時刻は22時54分。高校生くらいの少女がひとりで出歩くには少々遅すぎる時間であるため、小池と同じく疑問を抱いていた視聴者も多いだろう。晴子自身は「バイトの帰りに通っただけ」と話しているが、何か他にも理由があってもおかしくはない。
晴子は第5話での「知らないほうがいいこともあるよ」「正論が少しまぶしすぎた」といった意味深発言をはじめ、兄弟が知らない事実を掴んでいるのではないかと思わされる言動も目立っていた。今回、小池から事件当日の動きについて疑いの目が向けられていることがはっきりと描かれたことで、単なる「被害者」以外の一面が隠されている可能性も否定できない。
ただ、小池も小池で、当時の事件の担当刑事だったり、兄弟が事件を追うのをやめさせようとする言動があったりと、怪しい人物の一人ではある。そんな小池が「あの兄弟には力を貸すな」と警告しているあたり、晴子はあくまで「兄弟側」に立っていることにはなる。だがいずれにせよ、彼女が何かを意図的に隠していることは間違いないだろう。
■晴子は何を隠してる?
ここからは、過去のエピソードで小出しにされてきた「晴子の素性や経歴」について、あらためて整理してみよう。
まず家族構成についてだが、第3話と第6話での宮藤詩織(中条あやみさん)との会話によれば、晴子の父は漁師で、何年も前に酔っぱらって海に落ちて亡くなってしまったという。昔よく漁を手伝っていたと懐かしそうに話していたこと、今でも“父さんに会うため”に海に来ていることから察するに、仲のいい父娘だったのだろう。さらに、母と弟は晴子が小学生のときに事故死したとのことで、今の晴子は身寄りがない可能性が高い。
現在は質店の店主として働いているが、元新聞記者で、真の依頼で動く情報屋としての顔も持つ。作中でたびたび見せる情報収集能力の高さから、かなり優秀な記者だったことがうかがえ、刑事である宮藤も「どうしてそんなに仕事ができるのに、質屋を?」と直接質問したほどだ(第5話)。
それに対する晴子の答えは、自身が使っていた情報屋が病気になったのをきっかけに、その人が営んでいた質店を継ぐために記者を辞めた、というもの。ちょうど当時、人の「隠しごと」を暴くことに複雑な感情を抱いていたのも、その決断をした理由のひとつだという。
そんな晴子の過去の中で気になるのは、田鎖兄弟の前から姿を消した時期があることである。第2話での会話から察するに、彼女がいなくなったのは田鎖家一家殺傷事件が時効を迎えた16年前ごろ。理由については「いい加減(真と稔に)前に進んでほしかった」「私に会えば嫌でも(事件のことを)思い出すから」と説明しており、連絡先まで変えてしまう徹底ぶりだった。
戻ってきたのは3年ほど前で、質店を継いだのもそのくらいの時期だろう。ただ、彼女からそのことについて兄弟たちに連絡することはなかった。真と再会したのは、真が青委警察署に配置された後、彼が捜査の中で、“たまたま”晴子の店を訪れたのがきっかけだったという。兄弟の未来を思う晴子は彼らの前から姿を消したが、運命のいたずらによって再会を果たした……ことになる。
だが、先述の小池とのやりとりでは、小池が再会して早々「なんでこっちに戻ってきた?」と晴子に問いかける場面がある。まるで、晴子がここにいてはいけない重大な理由があるかのようだ。小池の晴子に対するどこか刺々しい態度を見ていると、彼女が新聞記者を辞めた理由や地元を去り戻ってきた理由、果ては真と再会した「偶然」にも、何か裏があるように思えてきてならない。
こうして振り返ってみると、晴子は他の登場人物と比べても背景や過去についての情報量が充実している。にもかかわらず、どこか裏を感じさせるのは、それぞれの情報の間に絶妙な「余白」があるからだろう。事件の日に田鎖家の前にいたのも、質屋になった経緯も、真と再会したきっかけも、“たまたま”で片付けられていることがあまりにも多すぎる。
その「偶然」の裏に隠された秘密が暴かれたとき、彼女の真の姿もまた明らかになるのだろうか。
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