昨今、数多くの漫画やアニメが実写映画化されている。原作ファンにとって、三次元で表現されるキャラクターの再現度が気になるのは当然のことだろう。
観客に違和感を与えずに物語の世界観に引き込むため、俳優たちはときに過酷なトレーニングで体形を変化させるなど、徹底した役作りを行う。特に、大幅な増量や減量といった肉体改造は、単に外見を似せるだけではなく、キャラクターの内面や生き様までをも体現する重要な手段となるのだ。
俳優たちの凄まじい努力によって作り上げられた肉体は、キャラクター造形に圧倒的な説得力をもたらし、作品全体のクオリティをより高みへと押し上げる。
今回は、実写化作品において驚異的な肉体改造を成し遂げた俳優たちを、5回にわたってピックアップし、そのプロフェッショナルな姿勢に迫っていきたい。
(第4回/全5回)
※本記事には作品の内容を含みます
■プロさながらのハードトレーニングで作り上げた野性的ボクサー『あしたのジョー』山下智久
2011年に公開された映画『あしたのジョー』は、伝説的ボクシング漫画を原作に、最新の映像技術と俳優たちの熱演によって新たな命を吹き込まれた作品だ。原作:高森朝雄(梶原一騎)さん、作画:ちばてつやさんの強力タッグが手掛けた不朽の名作をベースに、主人公・矢吹丈(ジョー)とライバル・力石徹の宿命の対決が描かれた。
本作でジョーを演じたのが、山下智久さんだ。当時はアイドルグループ・NEWSの一員として活躍していたこともあり、撮影当初から62kgと十分に引き締まった体つきをしていた。
だが、山下さんは人気キャラクターであるジョーを演じるにあたり、よりリアルなボクサーとしての体形を目指すことを決意。徹底的な食事制限と過酷なトレーニングによって体重を約9kgほど落とし、体重は53.5kg、体脂肪率も14%から5%と、原作のジョー同様、実際のバンタム級ボクサーのようなリアルな体型を作り上げた。
そのトレーニングメニューは本物のボクサーさながらであり、元・WBA世界スーパーフェザー級王者、内山高志さんも「俳優さんとは思えない!」と驚嘆していたほど。壮絶な減量によって作り出された肉体美は、メガホンを取った曽利文彦監督をはじめ、映画に関わるスタッフをも魅了したという。
徹底的に削ぎ落されたシャープな肉体はもちろん、山下さんはジョーが持つ獣のような闘争心も、役作りにしっかりと組みこんでいる。トレーナーから腹部にパンチを当ててもらい、苦痛によって怒りをたぎらせるなど、破天荒なアプローチでジョーに自身を近付けていった。
そんな山下さんが作中で力石(演:伊勢谷友介さん)と繰り広げる打撃戦は、まさに圧巻の一言。単に当てるように見せるのではなく、目の前の相手を本気で打ち倒しに行く者の闘志や気迫が存分に感じられる。
原作でもボクサーたちが過酷な減量に挑む姿がリアルに描かれているが、山下さんのストイックな姿勢が、原作同様の緊迫感とリアリティを映画にもたらすこととなった。その命を削るような役作りは、俳優・山下智久の真価を世に知らしめる結果となったのである。
■驚愕のボクサー体型…山下智久が演じた実写版『あしたのジョー』をチェック



