■そもそも鬼としても強すぎる…美しい血鬼術「惑血」

 珠世は卓越した医療技術だけでなく、鬼としての能力も非常に高い。彼女の血鬼術「惑血」は、珠世の血の匂いを嗅いだ者に作用する特殊な術で、その効果は人間にも鬼にも及ぶ。

 珠世が浅草で使用した「視覚夢幻の香」は、血の匂いを嗅いだ者に美しい花のような紋様の幻覚を見せ、一時的ではあるが視界を奪うことができる術だ。また、毬の鬼・朱紗丸に使用した「白日の魔香」は自白剤のような効果があり、匂いを嗅いだ者の脳の機能を低下させ、虚偽の口述や秘密を守れなくさせる。結果、朱紗丸は珠世の巧みな誘導尋問によって無惨の名前を口にし、体内に仕掛けられた“呪い”によって殺された。

 このように、直接的な戦闘能力こそないものの、珠世の血鬼術は使い方によってはかなり強力だ。戦闘時に視覚を奪う「視覚夢幻の香」は戦況を大きく動かす可能性を秘め、「白日の魔香」は、朱紗丸のように騙して無惨の“呪い”を誘発させることができる。重要な情報を持つ鬼を尋問し、自白させることにも有効だろう。

 彼女の存在を見過ごし、支配下から逃したことは、無惨にとって最大の失策だったと言わざるをえない。

■無惨しかできない鬼化を実現!愈史郎&茶々丸

 鬼の始祖は無惨ただ1人であり、基本は彼以外に鬼を造り出すことはできない。最強格である上弦の鬼でさえ、無惨の承諾なしでは人間を鬼化することは許されていないのだ。

 だが、珠世はこの絶対的な理をも覆している。彼女は自身の持つ知識と技術を用いて、病魔に侵されていた少年・愈史郎を鬼へと変えることに成功している。鬼化した愈史郎は珠世同様、無惨の支配から逃れ、さらに少量の血液で生存できる特異な存在となっている。

 さらに驚くべきことに、珠世の使い猫・茶々丸もまた、珠世に鬼化されていることが『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』で明かされている。

 茶々丸は禰󠄀豆子を人間に戻す薬の研究のため、炭治郎が集めた鬼の血液を運ぶという重要な役割を担っていた。愈史郎の血鬼術で透明化して戦場に現れる茶々丸は、鳴き声を合図に姿を現し、もう1度鳴くと姿が見えなくなるようにされており、安全に任務を遂行している。

 珠世の手紙を炭治郎へ届けるなど、連絡役としても活躍している茶々丸。その存在は、最終決戦である「無限城編」でも重要な役割を担うことになった。

 人間だけでなく、動物さえも鬼化できる珠世の能力は、彼女の計り知れない潜在能力を改めて証明していると言えるだろう。

 

 人間であった頃、珠世は病を患っていた。我が子が大人になる姿を見届けたいという願いから、無惨の誘いに応じ、鬼となる道を選んでしまう。しかし、鬼化したことで理性を失った彼女は、あろうことか自らの手で愛する夫と子どもを手に掛けてしまった。その代償はあまりにも大きく、悲劇的なものだった。

 その自責の念に数百年もの間苦しみながら、彼女はただただ無惨をこの世から葬り去ることだけを考えて生きてきた。そんな彼女の運命は、炭治郎と出会ったことで大きく動き出すこととなる。

 極めて高い知性と医療技術、そして鬼としての類まれなるポテンシャルを誇る彼女は、物語のクライマックスである最終決戦において、どんな活躍を見せるのか。悲しくも美しい鬼・珠世の行く末にも注目し、見届けたいと思う。

 

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鬼滅の刃 1
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