『アギト-超能力戦争-』も公開!『仮面ライダーアギト』はどんな作品だったのか…交差する3人のライダーと「あかつき号事件」の謎の画像
『仮面ライダーアギト THE MOVIE』コンプリートBlu-ray(東映ビデオ)(C) 石森プロ・東映

 4月29日、仮面ライダー生誕55周年記念作品『アギトー超能力戦争ー』が、ついに全国公開の日を迎える。

 2001~2002年に放送された『仮面ライダーアギト』は、平成仮面ライダーシリーズの第2作目だ。前作『仮面ライダークウガ』が築いたリアリズムを継承しつつ、重層的なミステリーと壮大な神話性を融合させ、シリーズ史上最高平均視聴率(11.7%)を記録した金字塔的な作品である。

 『アギトー超能力戦争ー』は、テレビシリーズから四半世紀を経て描かれる正統な続編だ。その公開を前に、改めて原点『仮面ライダーアギト』とは何だったのか。その本質に迫りたい。

※本記事には作品の核心部分の内容を含みます

■3人のライダーが示した「進化・科学・呪い」の対立構造

 『仮面ライダーアギト』の最大の特徴は、主役級のライダーが3人も登場する点にある。今となっては複数のライダーが登場する作品は珍しくないが、「昭和仮面ライダー」シリーズから前作『仮面ライダークウガ』に至るまで、仮面ライダーは基本的に「一人の戦士が物語を背負う」という伝統的な構図で描かれてきた。その様式を鮮やかに塗り替え、シリーズに新たなスタンダードを提示したのが『アギト』だったのである。

 作中に登場するのは、対照的な背景を持つ3人のライダーだ。光の力によって覚醒し、際限なく進化を続ける生命体「アギト」。未確認生命体に対抗すべく、人類の知恵を結集して開発された純粋な科学兵器「G3」。そして、本来アギトへと至るはずの力が歪んで発現し、呪われた運命を背負う変異体「ギルス」。

 なかでも、当時の筆者の目に強く焼き付いたのがG3の存在であった。超常的な力で変身するのではなく、単なる生身の人間が重い装備を装着し、傷つきながらも戦い続ける。正直、「またやられている」と感じる場面も少なくなかった。しかし、それでも逃げずに不屈の闘志で立ち上がる姿から、なぜか目を離せなかったことを覚えている。

 こうした異なる出自を持つライダーたちが、時に共闘し、時に対立する構図は、後の『仮面ライダー龍騎』や『仮面ライダー555』へと受け継がれ、現在放送中の『仮面ライダーゼッツ』に至るまで、シリーズの基盤として息づいている。

■交差する3人の運命と「あかつき号事件」の謎

 これら3人のライダーは、置かれた境遇も社会的立場も全く異なる。しかし、運命に導かれるようにその人生は交差していく。

 記憶を失い、居候の家事手伝いとして穏やかな日常を送る津上翔一(仮面ライダーアギト)。警察庁のG3ユニットに所属し、理想と現実の狭間に苦悩する刑事・氷川誠(仮面ライダーG3)。そして、突如として異形の姿となり、周囲から孤立していく葦原涼(仮面ライダーギルス)。

 彼らは物語の中盤まで、互いの正体を知らない。それゆえに、ある時は同じ食卓を囲み、ある時には正義を巡って激しく衝突し合う。この重層的な「すれ違い」のドラマこそが、従来のシリーズにはなかった人間関係の独特の深みと先の読めない緊張感を生んでいた。

 その背後で常に不穏な影を落とすのが、瀬戸内海で発生した謎の海難事故「あかつき号事件」だ。生存者たちはなぜか「アンノウン」と呼ばれる謎の怪人たちに狙われていく。断片的な証拠と証言、そして回想シーンによって、事件の真相が少しずつ浮かび上がっていくのである。

 視聴者の予想を何度も裏切りながら真相へと迫っていく……この精緻なミステリー手法は、当時の特撮作品としては極めて先進的であった。これこそが、『仮面ライダーアギト』を単なる子ども向けのヒーロー番組という枠に収まらない作品へと押し上げた大きな理由の1つだと言えるだろう。

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