3月29日に最終回を迎えた鈴木亮平主演の日曜劇場『リブート』(TBS系)。衝撃の展開の連続だった物語がついに完結し、視聴者の間では“ロス”の声が相次いでいる。
二転三転しながらも、見事に着地した『リブート』の物語。その全貌を知ったうえで、あらためて第1話から観返してみると、「なるほどそういうことだったのか!」と気付かされる描写が数多くあった。
ここでは、全話を再度視聴して初めて気づいた「伏線」を振り返ってみたい。
※本記事はドラマ『リブート』全話の内容を含みます。
■練りに練られた伏線回収
まず、主人公・早瀬陸(リブート前:松山ケンイチ、リブート後:鈴木亮平)の妻である早瀬夏海(リブート前:山口紗弥加、リブート後:戸田恵梨香)について。
彼女は当初、故人として登場したが、後に幸後一香にリブートして生きていたと判明。その衝撃的な事実が描かれたのは第8話だった。
しかし、彼女の正体にまつわる伏線は、序盤から丁寧に張られていた。中でも、今回振り返ってみて驚かされたのは、第1話で一香が夏海の葬儀に現れるシーンである。
このとき一香は「(前任者の)顔くらい見ておこうと思って」と説明し、遺影の前に立ったにもかかわらず、なんと焼香をしていない。
ささやかな描写なので初見時は流してしまっていたが、夏海が一香として生きていたと知った後で見てみると、この場面は夏海(つまり自分)が死んでいないことを暗示する伏線だったと気付かされる。
夏海にまつわる伏線といえば、「ハヤセショート」も忘れてはならない。第1話の過去回想にて、夏海は誕生日に家族とともにハヤセショートを食べ、幸せそうな表情を浮かべていた。作中で言及された「イチゴをヘタ側から食べるクセ」も、このときからしっかりと描かれている。
第4話では、リブート儀堂(=早瀬陸)が自身の正体を証明するためハヤセショートを作った際、食べるよう勧められた一香は「やめておく」と発言。このとき、まだ正体に気付いていなかったリブート儀堂が理由をたずねると、彼女は「夏海さんのだから」と答えていた。
さらに第8話では、一香が自宅でハヤセショートを作っていたことが判明。彼女にとって“陸が作るハヤセショート”がいかに大切なものであるかが、一貫して描かれていた。
そして最終話、刑期を終えて早瀬家に戻ってきた一香、つまり夏海は、陸ではなく成長した息子・拓海の作ってくれたハヤセショートを家族とともに食べる。これまでのハヤセショートにまつわる描写は、すべてがこのラストにつながっていたのだと思わされる、見事な伏線回収だった。
■第1話と最終話で“そっくり”のシーンが…!?
本作の悪役・合六亘(北村有起哉)にまつわる秀逸な伏線回収もある。
最終話、悪事を暴かれ逮捕寸前まで追い詰められた合六は、可愛がっていた部下・冬橋航(永瀬廉)から「最後にうまいものでも食べてください」と料理を出される。これ自体、過去エピソードの中で、合六が部下を始末するときに何度も繰り返してきた“儀式”だ。
しかし特筆すべきは、ここで冬橋が作った料理。鉄板でご飯をただ炒めた一皿で、一見、彼が我流で作った料理にも思えた。だが、あらためて全話を観返してみると、ここは第1話のとある場面と見事に対応していることに気付く。
それが合六が幹部たちに「ガーリックライス」を振る舞うシーン。鉄板に油を敷き、ご飯を乗せてガーリックパウダーなどの調味料を加えて……といった手順が同じなのである。
つまり、冬橋が合六にふるまった料理はガーリックライスだったのだ(放送後、番組公式Xでも明らかにされた)。ただし、手慣れている合六に対し、冬橋はいかにも不慣れで手際が悪いのが対照的。また、合六のガーリックライスはフォアグラが添えられ美しい盛り付けであるのに対し、冬橋のものは具なしで茶碗のフチに米粒がついてしまっている有様だ。
第1話と最終話で、同じ料理を作る場面が用意されたあたり、この2人の奇妙な「師弟関係」もまた、本作が描いた“愛情”の1つだったのかもしれない。
■細かすぎるヒントが…
最終話、主要人物以外で存在感を放った登場人物といえば、儀堂の部下である寺本恵土(中川大輔)だ。彼はオンラインカジノにハマって金に困ったという理由で、「闇バイト」として合六の指令をこなしていた。
その真相をふまえ、あらためて全話を観返してみると、第2話で驚きの“伏線”に気付かされた。一香がマネーロンダリングについて説明する時に、画面を埋め尽くすほど大量の「闇バイトたち」が描かれる場面。その顔ぶれをひとつひとつ確認していくと、なんと左のほうに寺本が紛れ込んでいるのである。
闇バイトひとりひとりの顔はかなり小さく描かれており、場面自体の時間もそれほど長くはないため、初見ではなかなか気付けない。中には放送時から指摘していた視聴者もいるようだが、そんな細かい部分にも伏線が仕込まれていたとは驚きだ。
そもそも、一香の白骨化遺体が夏海だと断定されたのは警察内のスパイが書類を偽造したためだが、第1話でDNA鑑定書を持ってきたのは誰あろう、寺本であった。また寺本は、第3話でリブート儀堂に「ロッカーの鍵」を渡しており、儀堂のロッカーにノートパソコンが仕込まれていた件とつながっている。
さらに第6話、リブート儀堂が「麻友さんが監禁されている」と警察に助けを求めた際、指定場所に突入したメンバーの中に寺本の姿があった。
結局、その場所は“警察内のスパイ”が合六サイドに情報を漏らしたせいでもぬけの殻だったわけだが、その場に寺本がいたことは、彼がスパイであることを裏付ける伏線の1つだったといえる。ちなみに、同じくスパイ候補だった三上(池田鉄洋)は、突入メンバーの中にはいなかった。
寺本は一貫して地味な存在だったが、こうして振り返ってみると序盤から怪しさがしっかり積み上げられていたことがわかる。だからこそ、最終回でスパイだったと判明した時、「やっぱりこいつだったのか」と納得した視聴者も多かったのではないだろうか。
緻密な構成や伏線回収など、細かい部分にまでこだわりが感じられる『リブート』。内容面だけでなく、1周目と2周目でキャストの演技がまったく違って見えるのも、魅力の1つだ。あらためて全話観返してみることで、新たな面白さを発見できるかもしれない。


