■正反対のふたりが紡ぐ人間ドラマ『違国日記』

 最後の作品は、ヤマシタトモコさんの同名漫画が原作の『違国日記』。タイトルに「日記」や「違国」という言葉が含まれていることから、「どこか遠い国での旅物語」や、「異世界ファンタジードラマ」という印象を受けるかもしれないが、その実態は人見知りの小説家・高代槙生と、ある日突然両親を失った姪の田汲朝という、まったく異なる価値観を持つふたりの女性が織りなす人間ドラマとなっている。

 第1話では、不慮の事故により両親を失った朝と、他者と距離を取って生きてきた槙生が、戸惑いながら同じ屋根の下で暮らし始めるまでが描かれた。作中で印象的なのは、両親を亡くした姪の朝に対し、槙生は過度に慰めることはなく、「理解はできないが尊重する」という、一見突き放したようで、安易な共感に逃げないスタンスで接している点だ。

 一方、そんな朝は槙生のことを「たった1人で玉座に座る、違う国の孤独な女王に出会ったのだ」と表現しており、タイトルの「違国」が、隣にいながら簡単には理解できない“他者”との隔たりを示唆しているようにも受け取れる。ハートウォーミングな同居物語を期待していた視聴者の予想をも、いい意味で裏切ったはずだ。

 なお、本作は海外からの評判も高く、言葉に潜む無意識の偏見や世代間の断絶、そして「誰かと共に生きること」の難しさが巧みな感情描写で描かれる展開が受けているようだ。「現実的な内容だが惹きこまれる」「本当に美しい……」という声が上がるなど、2人の心模様に胸を打たれる海外の視聴者も多い。

 タイトルから想像される牧歌的なイメージとは裏腹に、人間関係の深淵を見つめ直させる高潔なドラマとなっている『違国日記』。2人が巡る心の国境の旅路は、冬アニメ屈指の余韻を残してくれるかもしれない。

 
 タイトルやビジュアルから受けた第一印象と、実際のストーリー展開に大きなギャップが感じられた作品の数々。その物語はいずれもまだ途中段階のため、今後の展開にも大きな注目が集まっている。

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