人気漫画に登場する女性キャラクターは、時に現実では考えられないような奇抜なビジュアルや、エキセントリックな性格であることも少なくない。このようなキャラクターを実写化するのは極めて難しいが、近年ではキャラクターになりきり、違和感なく演じる女優が増えている。
実写化のハードルが下がった背景には、CG技術などで世界観や表情の再現が可能になったこともあるが、何よりそのキャラクターになりきるために緻密な役作りをおこなった女優たちの努力があるからに他ならない。
中には「漫画のキャラに近づくために、そこまでする!?」と驚かされるほどの役作りで、見事な演技やビジュアルを披露した女優も存在する。
そこで今回は、原作漫画から抜け出てきたかのような再限度の高いビジュアル・演技を見せた実力派女優たちを5回にわたってピックアップし、振り返っていきたい。
(第3回/全5回)
※本記事には作品の内容を含みます
■「戸田恵梨香」原作のままのゴスロリファッション…伝説の「ミサミサ」を降臨させた『DEATH NOTE』弥海砂
名前を書いた者を殺すことができる「デスノート」をテーマに、犯罪者を粛清し新世界の神を目指す主人公と、彼を追う人々の姿を描いた人気漫画『DEATH NOTE』(原作:大場つぐみさん、作画:小畑健さん)。
社会現象を巻き起こすほど人気を博した本作は、2006年に二部作で実写映画化された。
藤原竜也さん演じる夜神月(キラ)、松山ケンイチさん演じるLという2人の天才の頭脳戦が見どころの本作において、物語を大きく動かす「第二のキラ」として観客の目を釘付けにしたのが、当時17歳だった戸田恵梨香さんだ。
彼女が演じたのは弥海砂、通称「ミサミサ」。戸田さんは、本作でスクリーンデビューを飾った。
海砂はティーンに絶大な人気を誇るカリスマモデルでありながら、愛する「キラ」のためなら自らの寿命を半分に縮める「“死神の目”の契約」も厭わない、純粋さと危うさを併せ持つキャラクターだ。
ゴスロリ調のファッションに身を包み、幼さの残る独特の口調で話す姿は、一歩間違えれば現実世界から浮いてしまう難役であった。しかし戸田さんは、この難しいキャラクターをスクリーン上で見事に体現。
ビジュアルの再現度は完璧であった。トレードマークのトップサイドに分けたツインテールに、黒を基調としたレースの衣装。戸田さんの華奢でスレンダーな体型は、まさしく原作漫画からミサミサが飛び出してきたかのようだった。
また、戸田さんの演技の凄みは、その「瞳」にも表れていた。キラを盲目的に信じる時の輝きと、邪魔者を排除しようとする時の死神を宿したような冷徹な眼差し。シーンによって巧みに目力を変えて表現する姿は、その後の彼女の目覚ましい活躍を予感させるものだったように思う。
海砂は、登場当初こそ可愛らしいアイドルのような振る舞いで観客の胸をときめかせたが、後にLに拘束・監禁されるシーンでは、精神的に追い詰められた極限状態を見事に演じきった。
実際にこのシーンは1時間ほど拘束され、目隠しをされたまま撮影がおこなわれたそうで、戸田さんはまさに心身共に極限の状態で海砂の苦悩を表現している。
アイドルとしての華やかさを完全に封印し、かすれた声で「殺して!」と叫ぶ海砂の姿は、観る者の胸を締め付けた。この光と影の激しいギャップこそ、戸田さんが演じる弥海砂に強烈な存在感を与えた要因だといえるだろう。
その後、2016年に公開された続編『デスノート Light up the NEW world』でも、戸田さんは10年ぶりに弥海砂を再演している。劇中ではアイドルから女優へと成長した姿が描かれ、デスノートの記憶を失いながらも夜神月を想い続ける切なさを表現した。
本人は映画デビュー作という思い入れの強い役への再挑戦に“恐怖もあった”と語っていたが、10年の歳月で培った演技力をもって、再びファンを熱狂させたのである。


