２０２５年秋アニメも終盤戦に差しかかり、各作品の展開やキャラクターの個性にいっそう注目が集まっている。各媒体では読者アンケートや視聴率ランキングが発表されており、「異世界転生モノ」「王道バトルモノ」など、媒体ごとに異なる顔ぶれが並んでいる。
そんななか、どのジャンルや年齢層を対象にしたランキングにも、いつも名前があがる人気作が存在する。それが、異世界グルメファンタジー『とんでもスキルで異世界放浪メシ２』だ。
原作は江口連さんによる同名小説で、ウェブサイト「小説家になろう」で驚異の１１億ＰＶ超えを果たし、シリーズ累計７００万部を突破した人気作。２０２３年冬にアニメ第１期が放送され、現在は第２期が放送中だが、各ニュースサイトが発表している２０２５年秋アニメのランキングで常にＴＯＰ３に位置するなど、前期の勢いそのままに大きな人気を博している。
群雄割拠のアニメ業界において、大型タイトルとそん色のない人気を誇る本作は、なぜこれほどまでに視聴者の心をつかむのだろうか。
■異世界転生のお約束ナシ!? 家族も楽しめる！
本作のレビューやＳＮＳでの反応を覗いてみると、ファミリー層の視聴がかなり多いという傾向があるが、その理由として考えられるのが「異世界モノあるある」がほとんど登場しないことだ。
異世界転生モノには、妖艶な女性キャラたちとのハーレム要素や、ゆるキャラが突如女体化するなど、家族で見るには少々気まずい要素もしばしば登場する。だが、このアニメにはそういった要素がほとんど存在しない。
また、主人公のサラリーマン・向田（ムコーダ）のスキルは、現代日本から取り寄せた調味料と食材で美味しいご飯を作ること。争いを好まない性格で戦闘がメインではないので、「チート能力で敵をなぎ倒す」「パーティから追放される」といったお約束展開もなく、あるのはただ、２８歳のサラリーマンとその仲間たちによる、気ままな異世界グルメ旅だ。
大きな波乱が起きない平和な旅路だからこそ、どの世代でも安心して楽しむことができ、「家族で見てる！」「アニメを見ない妻がハマってくれた」「もうずっと一年中やってほしい」と、幅広い層の視聴者から好評を博している状況だ。
また、本作の人気を支えるもう一つの要因が、ムコーダとともに旅をするキャラクターたちの愛らしさにある。
巨大な伝説の魔獣・フェルは、一見恐ろしい狼だが、食べ物には目がない食いしん坊な従魔。スライムのスイ、ピクシードラゴンのドラちゃんなど、見た目や声もこちらの庇護欲をかき立てる可愛らしい魔物たちが登場する。
スライムのスイちゃんは「あるじ～～」とムコーダに懐いた幼子のような存在で、ぷるぷるの見た目と仕草がひたすらキュート。「スイがあまりにも可愛すぎる」「スイちゃん欲しい……」「毎晩抱きしめて寝たい」など、ＳＮＳを中心に、その可愛さに悶絶する視聴者であふれている。
従魔同士であるスイがフェルに「フェルおじちゃん」と無邪気に甘えたり、ムコーダもまるで本当の親のように美味しい料理を振舞ったりと、キャラクター同士の掛け合いのほほ笑ましさも癒やされる要素で、そのあたりも本作が老若男女に愛される理由だろう。
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