■主人公のかませ犬…最後はシャイナを救うため犠牲になったカシオス
『聖闘士星矢』最大のかませ犬キャラといえば、物語の序盤、主人公の星矢とペガサスの聖衣を巡り最初に戦ったカシオスは外せないだろう。
彼はそれまで戦ってきた9人の戦士を一撃で葬り去ってきた恐ろしい戦士だ。凄まじい巨体で星矢を一握りして持ち上げる様子は圧巻で、「ふしゅらしゅらしゅら」という不気味な笑い声は読者に強いインパクトを与えた。
しかし、いざ星矢との戦いに挑むと、カシオスは星矢から一瞬で耳を切り落とされ、「ペガサス流星拳」を浴びて完敗してしまう。星矢にとってカシオスの存在は、自分の強さをアピールするのに十分であったと言えるだろう。
そんなカシオスの師匠は、仮面の下に美しい素顔を持つ女性白銀聖闘士、蛇遣い星座のシャイナである。シャイナを慕うカシオスは「黄金聖闘士編(十二宮編)」にて最終的にシャイナを救うために両手を自分の腹に刺し、絶命している。それは、星矢を愛するシャイナを悲しませたくないゆえの自己犠牲であった。
当初は単なるかませ犬に見えたカシオスだが、彼が愛する人のために迎えた壮絶な最期は、多くの読者の胸を打った。
長期連載であった『聖闘士星矢』は、物語が進むたびに強力なキャラクターが現れるため、初期に登場していた出番の少ない聖闘士の存在は薄れがちかもしれない。しかし、改めて読み返してみると、いわゆる2軍的な脇役たちも個性豊かな魅力のある戦士であり、サブキャラにしておくにはもったいない印象もある。
『聖闘士星矢』が今なお多くのファンを魅了し続ける理由の1つは、こうした脇役に至るまで丁寧に人物像が描かれている点にあるだろう。彼らの存在が、主人公たちの戦いをより一層輝かせているのである。


