■原作への熱意から自ら提案『東京卍リベンジャーズ』山田裕貴

 突如、タイムリープの能力に目覚めた主人公が過去へと戻り、悲惨な運命を変えるために奔走していく和久井健さんの漫画『東京卍リベンジャーズ』。SFとヤンキー漫画のテイストを融合した斬新な設定で、社会現象となるほど絶大な人気を博した。

 2021年に公開された実写映画版で、キャラクターの個性的な髪型を地毛で再現する情熱を見せたのが、「ドラケン」こと龍宮寺堅を演じた山田裕貴さんである。

 ドラケンは原作でも特に人気の高いキャラクターで、剃りあげた側頭部に刻まれた龍のタトゥーと、後ろで編み上げた金髪という、かなり特徴的なヘアスタイルをしている。

 実は山田さん自身が原作漫画の大ファンで、その熱意から“地毛でドラケンのヘアスタイルを再現したい”と自ら提案したという。

 その言葉通り、実際に側頭部を剃り上げ、髪を黒から金へと染め上げることで、原作さながらのビジュアルを再現することに成功。このヘアメイクの様子はメイキング映像としても公開されており、山田さんが徐々にドラケンへと変貌していく様子に思わず見惚れてしまう。

 加えて、山田さんは15cmのインソールを使い、ドラケンの長身をも再現。それを着用したままハードなアクションシーンにも挑んでおり、彼の役作りに対するストイックな姿勢をうかがうことができる。

 ちなみにこのドラケンの髪型には、映画プロデューサーである岡田翔太さんも並々ならぬこだわりを持っていた。形状や色合いを決めるため、なんと5時間もの議論が交わされたという。

 スクリーンで表現されるドラケンの高い再現度は、俳優と制作陣の凄まじい熱意あってのものだといえるだろう。 

 

 漫画キャラクターたちが見せる奇抜な髪型は、彼らの個性の一部と言っても過言ではない重要なアイテムの1つだ。

 今回紹介した俳優たちは、いずれも自身の地毛に手を加え、日常生活への影響や負担すら顧みずに、役作りを徹底していた。本来ならばウィッグで無難に再現することも可能なのだろうが、あえて地毛を用いるところに俳優たちの役者魂、原作愛を感じざるをえない。

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