尾田栄一郎氏の描く大人気少年漫画『ONE PIECE(ワンピース)』。主人公のモンキー・D・ルフィはいつでも前向きな『週刊少年ジャンプ』(集英社)の主人公然とした性格であり、行く先々で多くの人々を惹きつけている。
その天然の“人たらしぶり”は凄まじく、マリンフォード頂上戦争では王下七武海(当時)の“鷹の目”ことジュラキュール・ミホークが、「その場にいる者達を次々に自分の味方につける」「この海においてあの男は最も恐るべき力を持っている」と評したほどだ。
多くの人物から好意を寄せられるルフィだが、幾人かの女性からは完全に惚れられている。ファンの間では「将来的にルフィと結ばれるのは誰か」という議論も交わされるほどだ。
そこで今回は、作中で明確にルフィに惚れていそうな女性をピックアップし、彼女たちがなぜルフィに惹かれていったのか、その経緯を紹介しよう。
※本記事には作品の核心部分の内容を含みます
■ルフィに“ホの字”といったら海賊女帝!ボア・ハンコック
王下七武海の1人にして、女ヶ島アマゾン・リリーの皇帝でもある海賊女帝、ボア・ハンコックは、ルフィに惚れた女性の筆頭といえる存在だ。
男子禁制の国を統べる彼女は、当初こそ高慢で誰もがひれ伏す絶対的な存在として描かれていた。しかし、バーソロミュー・くまの能力によって女ヶ島アマゾン・リリーへ飛ばされてきたルフィと偶然出会ったことで、運命の歯車が大きく動き出す。
2人の出会いは最悪だった。入浴中のハンコックをうっかり見てしまったルフィに対し、彼女は死罪を言い渡す。だが、彼が自分と同じ「覇王色の覇気」の持ち主であることや、ハンコックとその姉妹に刻まれた奴隷時代の紋章が民衆に知られぬよう機転を利かせた行動を見て、彼女の中で何かが変わり始める。
誰にも明かせなかった過去を自ら告白し、奴隷としての屈辱を語ったハンコックに対し、ルフィは一切の偏見を見せず、当然のように受け入れた。しかも、そんな天竜人を公然と殴り飛ばしたのがルフィ本人であると知り、ハンコックの態度は一変。好意を抱くようになるのだ。
その後、ハンコックは七武海の招集命令を逆手に取り、ポートガス・D・エース救出を目論むルフィをインペルダウンに潜入させるために協力。頂上戦争でもエースの手錠の鍵を渡し、立場を捨ててでもルフィの手助けをするなど献身的なサポートを見せた。
頂上戦争後、ルフィが気絶したままの状態で保護されると大量の食事を用意したり、身の回りの世話をおこなうなど支え続けたハンコック。ルフィに抱きつかれれば「結婚」、名前を呼ばれれば「両想い」と本気で受け止める純情ぶりは、海賊女帝の威厳とは裏腹に、まさに恋する少女のようであった。
ここ最近の回想では、先々々代皇帝であるニョン婆や先々代皇帝シャッキーらも、かつては海賊への恋心に身を焦がしたことが描かれており、それまでにもかつての皇帝が恋煩いにより命を落としたり、島を出たりしていたことが明かされている。こうした背景から見ると、アマゾン・リリーの皇帝には海賊に恋する宿命でもあるのかもしれない?
■自分をぶっ飛ばしたルフィに惚れている? アルビダ
物語序盤、ルフィが海賊として初めて対峙した記念すべき相手が、かつて“金棒のアルビダ”として恐れられたアルビダである。
初登場時はそばかす顔で丸々と太った体格、トゲ付きの金棒を持つ威圧的な風貌が印象的だった彼女だが、悪魔の実「スベスベの実」を食べたことで一変。美しい肌、均整の取れたプロポーション、そして端正な顔立ちを手に入れた。その変わりようは作中でも屈指の劇的なビジュアル変化であり、もはや別人といっても過言ではない。
アルビダの恋愛観は極めて単純かつ豪快で、“自分を打ち負かすほどの強い男”に惚れるというもの。実際、ルフィにぶっ飛ばされた際のことを「感じたわ」と明言しており、以降ルフィを自分のものにしようと執着するようになる。のちにバギーと手を組んだのもルフィを探し出すためであり、単に惚れた相手を追っていたようだ。
ローグタウンでルフィが処刑されそうになった際は、彼の潔い態度を目の当たりにし、“自分が見込んだ男もこうなる運命だったのか”とでも言いたげな複雑な表情を見せていた。ハンコックのような熱烈な恋心とは異なるかもしれないが、それでもルフィという男を高く評価し、その好意が単なる興味本位ではないことがうかがえる。
一方、ルフィもアルビダの変貌ぶりには目を見張っており、作中では「おれはお前みてェな美女知らねェぞ」と語っている。この“美女”という表現は、のちに登場するハンコックや人魚姫・しらほしといった作中屈指の美貌を持つキャラクターに対しても使っていない。
物語初期のセリフであるため、そこまで深い意味はないという見方もできるが、少なくともその時のルフィの目には、アルビダがとても美しい女性として映っていたのは間違いない。


