2025年11月4日に、待望の最新コミック113巻が発売される尾田栄一郎氏の人気漫画『ONEPIECE(ワンピース)』(集英社)。壮大な冒険と白熱のバトルが描かれる長編ストーリーだが、その中には幸せそうなカップルたちの姿も描かれていた。
現在、連載のほうでは、若かりし頃のシルバーズ・レイリーとシャクヤクのなれ初め話らしきものが飛び出し、大きな注目を集めている。
総じて『ワンピース』では一方的に片思いしている描写は多いが、正式なカップルとして成立するケースがどのくらいあるのか気になった人も少なくないはず。そこで今回は相思相愛になったカップルたちのエピソードをピックアップしつつ振り返ってみたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■王族と元犯罪者による禁断の恋の結末
本編から10年以上前、ドレスローザでひっそりと結ばれた元剣闘士のキュロスと、同国の第一王女スカーレット。
かつてキュロスは親友を殺害した相手を討った罪で投獄されたが、ドレスローザ国王リク・ドルド3世の温情により剣闘士として雇われることとなった。
100勝すれば罪は帳消しになるという条件だったが、殺人者が世に出ることを不安視する世間の反応を知り、キュロスは自らの意志で剣闘士を続行する。それから前人未到の3000勝を達成した「伝説の剣闘士」となると、リク王に請われて軍隊長の任に就いた。
一方のスカーレットはリク王家の第一王女であり、高貴な身分。当初、軍の隊長に元罪人のキュロスが選ばれたことも快く思っていなかった。
しかし、彼女が海賊に襲われて拉致されかけたところをキュロスが命懸けで救出。この一件をきっかけに二人の距離は急速に縮まり、やがて互いに結婚を望むようになる。
王族と元罪人の結婚は容易に認められるものではなく、民衆の不安や反発も予想された中、スカーレットは「自らの病死」を偽装。王族という身分を捨てて、愛するキュロスと一緒になることを決断した。
王宮を飛び出し晴れて夫婦となった二人は、一人娘レベッカを授かるも、その幸福は長くは続かなかった。ドンキホーテ海賊団によって国は乗っ取られ、キュロスは「ホビホビの実」の能力によってオモチャの姿に変えられてしまう。
スカーレットは愛する娘を守るために奔走するが銃撃に倒れ、最後はキュロスに看取られて生涯を閉じた。
「ホビホビの実」の力によって愛娘レベッカの記憶から自身の存在が消えても、キュロスは「オモチャの兵隊」としてそばに寄り添い、愛するスカーレットが残した唯一の希望を陰から守り続ける。
王族と元犯罪者が成就させた尊い愛は、ドレスローザの歴史に刻まれた「真実の絆」といえるだろう。
■敵対関係から、まさかのオシドリ夫婦に?
ドレスローザ編では、もう1組の意外なカップルが成立している。ギャング「八宝水軍」の次期棟梁であるサイと、ドンキホーテファミリーの幹部だったベビー5という二人である。
ドレスローザで開催されたコロシアムの闘技大会に出場していたサイ。しかし、ドンキホーテ海賊団の能力者により、オモチャに変えられてしまう。その後、麦わらの一味の活躍で元の姿に戻ると、ドフラミンゴ討伐側の一員として戦線に加わることとなった。そこでサイと激突した1人が、ドフラミンゴの部下であるベビー5だ。
この戦いの中で、二人の関係性は急変していく。「他人から必要とされること」を渇望していたベビー5は、戦闘中にサイが言い放った「てめえの心臓を射抜いてやる(ベビー5目線:ハートを射止める)」「この手は離さねェ(ベビー5目線:この手を離さない)」「おれについて来れるか!?(ベビー5目線:おれについて来い)」といったセリフを都合よく解釈。ことごとく、自分に対する口説き文句と曲解した。
こうしたサイの言葉を受けて、ベビー5は「私のこと必要なんでしょ!!?」と顔を赤らめながら激白。サイの言葉のすべてを真に受けるベビー5に、彼が「じゃあ死んでくれ」というと、彼女は迷いなく自害しようとする。これはサイ本人の手で阻止され、平手打ちを受けて自害を食い止めた。
サイは、このような彼女の極度なまでの依存気質に困惑。しかし、直後にラオGの奇襲を受けた際、ラオGがベビー5のことを「こんな便利な女が他におるか」と侮辱したことにサイは激怒。「じゃあよ…勝ったらおれが妻に貰うぞ!!!」 と宣言し、きっちりラオGを撃破した。
このサイの言葉に二言はなく、彼は本当にベビー5を妻として迎え入れることに。実はサイにはウホリシアという別の婚約者がいたが、正式に落とし前(ボコボコにされていた)をつけた上で、ベビー5と挙式するという男前な流れで結ばれる。
現在では、ベビー5が夫のサイのために弁当を作り、サイの好物が「愛妻弁当」となるほどの仲むつまじい関係を築いている。敵対関係から相思相愛の関係にまで発展した理想的な夫婦であり、作中屈指の「オシドリカップル」といえるだろう。


