さすがに戦闘には不向き? 『ONE PIECE』ファンも同乗する悪魔の実「最弱能力」“ジャケジャケの実”に“フクフクの実”、“ナギナギの実”も…の画像
DVD「ONE PIECE Log Collection “CORAZON”」(エイベックス・ピクチャーズ) (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 尾田栄一郎氏が描く大人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』(集英社)と言えば、重要アイテム「悪魔の実」を最初にイメージする読者も多いだろう。長きにわたる連載の中で多数の実が登場し、中には主人公のモンキー・D・ルフィの食べた「ゴムゴムの実」のように、秘められたもう1つの名前を持つものがあるなど、いまだに謎が多い。

 そんな数多ある悪魔の実には、いかにも強そうな能力が多い一方で、戦闘には不向きと思われるユニークな能力も存在する。特に超人(パラミシア)系ではそれが顕著だ。

 ファンの間で最強の能力を巡る議論は絶えないが、同時に最弱の能力にもフォーカスしてみると、意外と多くの候補があった。そこで今回は、直接的な戦闘にはおよそ向かないだろうと思われる悪魔の実の能力を厳選して紹介しよう。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■協力してもらわないと意味がない? 「ジャケジャケの実」

 「ドレスローザ編」のコリーダコロシアムで登場した殺し屋コンビ「ファンク兄弟」の兄、ケリー・ファンクが有していたのが「ジャケジャケの実」である。この悪魔の実の能力は、自身の体をジャケットのように衣服化させ、その“服”を着た者を意のままに操ることができるというものだ。

 作中では、弟のボビー・ファンクがケリーを“着る”ことで真価が発揮された。武装色の覇気をまとった斧を受けてもノーダメージという弟の強靭な肉体に、兄の攻撃性と判断力が加わることで、2人で1人の強戦士となったのだ。

 だが、この能力の最大の欠点は、あくまで他者に“着てもらわなければならない”点にある。能力者自身にできるのは、衣服への変化と変化中にジッパーを下ろす程度であり、相手が自らの意思でその服を着ない限り、体を乗っ取ることすらできない。

 ケリーの場合はボビーという協力者がいたために能力を活かせたが、仮にそうした相手がおらず敵ばかりの戦場に一人放り込まれてしまえば、能力を持っていてもほぼ意味がない。

 もちろん、使い方次第では有効な場面も考えられる。たとえば、足の遅い者を“着る”ことで逃亡を手助けしたり、1人で潜入して内部で脱ぐことで2人で行動したりするなど、偵察や潜入工作であれば有効だろう。

 作中では見られなかったが、もし能力を発動している状態からさらに複数人を着ることができ、その力をまとめて引き出せるような潜在性能があるなら、評価は一変する可能性もある。

 現状では「信頼できる協力者の存在がなければ無力」という意味で戦闘向きとは言い難いが、応用次第で化けそうな惜しい能力といえる。

■攻撃力は皆無だが、サポート性能は随一? 「フクフクの実」

 ワノ国の侍集団「赤鞘九人男」の1人、狐火の錦えもんは「フクフクの実」の能力者である。対象の頭の上に石や木の葉を載せるか、あるいは能力者自身が作った暖簾をくぐらせることで衣服をまとわせることができる。

 相手の服装を変えるだけでなく、何も着ていない者にも服を着せられるようで、能力の使い方からしてその様子は、日本の昔話に登場する狸や狐が化ける際の手法を思わせる。

 ただし、効果はあくまで衣服の“生成”、または“変化”させることに限られるため、戦闘面における直接的な攻撃力はほぼ皆無だ。純粋な戦闘能力という観点から見れば、最弱クラスの悪魔の実であるといえよう。

 もしこれが、『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博氏)に登場する幻影旅団のコルトピ=トノフメイルの念能力「神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)」のように、あらゆる物体を新たに複製できる能力であれば、戦闘時にも幅広い活用が可能だっただろう。だが、このフクフクの実は、ひたすら服装の生成だけに特化しているに過ぎない。

 とはいえ、この能力は決して使い道がないわけではない。潜入や攪乱といった隠密行動では非常に有効であり、環境の変化に応じて味方に防寒服を瞬時に与えるなどの使い方も披露された。

 実際、鬼ヶ島討ち入りの際には大技「フクフクの『錦ちゃん呉服店』」を発動し、5000人以上の味方全員を百獣海賊団の衣装に変えるという大規模な変化を実現している。

 直接的な戦闘時に力を発揮できなくとも、サポート役としては優秀なフクフクの実の能力。集団戦や特殊な作戦においては効果的な面も見られるため、間接的な戦略や演出において光る能力といえるだろう。

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