■モニターの中でコスプレも披露!『暗殺教室』橋本環奈

 松井優征さんの人気漫画『暗殺教室』は、2015年に実写映画化され、翌年に続編となる『暗殺教室〜卒業編〜』も公開されている。

 物語は、“1年後に地球を破壊する”と宣言した謎の生物「殺せんせー」を主人公に、彼を暗殺する使命を課せられた落ちこぼれのクラス「3年E組」の生徒たちとの交流を描いた、斬新な学園ものだ。

 実写映画版には山田涼介さんや菅田将暉さんなど豪華なキャストが出演しているが、その中で橋本環奈さんは一風変わった「ロボット役」として異彩を放った。

 彼女が演じたのは、殺せんせーの暗殺のために送り込まれた転校生・律。世界中の技術を詰め込んで作られた「自律思考固定砲台」と呼ばれる人工知能搭載の新型兵器だ。

 律の本体は箱型の立方体で、橋本さんの姿はそのモニターに映し出されるアバターとして登場する。前髪を中央に寄せた特徴的なヘアスタイルで、AIらしくロボット感のある口調が印象的だ。

 殺せんせーを暗殺するため送り込まれた律は、さまざまな武器で殺せんせーに攻撃を仕掛ける。大掛かりな武器を構え、抑揚のない声で「攻撃を開始します」と言う橋本さんは、常人離れした端正な顔立ちも相まって、まるで“本物のAIかも”と感じさせる説得力を持っていた。

 モニターの中でのみの出演だった橋本さんは、基本的には制服姿だが、自由に服装を変えられる機能からナースや女教師などコスプレ姿も披露。橋本さん自身も「3年E組の2次元アイドルとして、張り切って殺せんせーを攻撃しました」と語っていたが、作中では圧倒的な可愛さで存在感を示していた。

 原作でも人気キャラの律だけに、実写化キャスティングは慎重におこなわれたという。プロデューサーの上原寿一さんは「完璧さと可愛らしさを併せ持つ奇跡的な存在感を持つ人」を探しており、そこで白羽の矢が立ったのが、当時アイドルとして唯一無二の注目を集めていた橋本さんだったというわけだ。

 完璧なまでに整った顔立ちの彼女だからこそ、ハマったAI役。無機質に話す姿も印象的だが、殺せんせーから協調性の大切さを諭され、3年E組の一員になるため少しずつ柔らかく変化していく表情にも注目して見てほしい。 

 サイボーグにロボット、アンドロイド……と、生身の人間でありながら、機械であると錯覚させるほどの名演技を見せた女優たち。無機質で感情のない佇まいや体温を感じさせない表情、そして、人間とロボットを見事に演じ分ける演技力にはただただ驚いてしまう。

 そして、機械だからこその可愛らしい姿も印象的だった。ぎこちなく動いたり、目線や表情を工夫したりと細部までこだわっているからこそ、見る人を魅了するのだろう。

 ぜひこの機会に、彼女たちの名演技に注目しながら作品をあらためて見返してみてはいかがだろうか。

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