■新選組をモチーフにした悲壮な結末『銀河烈風バクシンガー』

 作品はややマイナーながらも、根強いファンを誇る「J9シリーズ」。『銀河旋風ブライガー』に続く2作目にあたるのが、『銀河烈風バクシンガー』だ。「J9シリーズ」らしい軽快なノリの会話劇や、前衛的な音楽が魅力である一方、その物語は重厚だ。

 本作の大きな特徴は、主人公側である「銀河烈風隊」だけが正義ではないという世界観にあるだろう。さまざまな勢力が登場するが、そのどれもが高い志を掲げており、単純な勧善懲悪では割り切れない物語なのである。

 とはいえ、序盤から中盤にかけては、卑怯な手を使った敵を巨大ロボット「バクシンガー」で格好良くやっつけるという痛快な戦闘シーンが中心だ。

 しかし、物語のラスト数話は、そういった戦闘シーンとは打って変わってとても重苦しく、ドラマチックな展開となる。

 銀河烈風隊のメンバーの1人が暗殺され、バクシンガーへの合体が不可能になってしまうのだ。そこからは1人、また1人と戦死していき、主人公たち銀河烈風隊が全滅して、物語は終わるのである。

 本作は幕末の「新選組」をモチーフとしているため、史実をなぞれば全滅に向かうことは予想できた。だが、主人公であるビリー・ザ・ショットが目の病に冒され、ついには見えなくなっても、心眼とセンサーにより、むしろパワーアップするといったスーパーロボットアニメらしい無敵感もあった。そのため、まさか本当に史実通りに全滅してしまうとは……と、衝撃を受けた視聴者は少なくない。武力ではなく、策謀によって主人公側が負けて終わるという展開は、当時としては革新的であったと言えるだろう。

 最終的に銀河烈風隊は全滅するが、敵対勢力も平和を願う勢力であるため、全滅エンドでありながら、バッドエンド感は薄い作品かもしれない。いろいろな面で、いまだに他の追随を許さない、オンリーワンな後味を味わえる作品であろう。

 

 ここで紹介した作品以外にも「全滅エンド」のロボットアニメは、いずれも衝撃的かつ悲劇的である。だが、その物語が訴えかけるテーマや、視聴者が抱く感情は千差万別だ。

 あなたの心に最も深く刻まれた全滅エンドは、どの作品だろうか。

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