■なぜ継ぐ子を持つ柱は少ないのか
柱が継子を持つことは、次世代の育成という観点から見ても、鬼殺隊士全体の戦力向上に繋がり、いいことばかりに見える。しかし、なぜ継子を持たない柱ばかりなのだろうか。
その理由の1つには、継子が柱とともに危険な仕事に同行する機会が多いため、死にやすいこともあるだろう。加えて柱合会議での柱同士の会話からもわかるように、近年は隊士の質が落ちているらしい。そのため、柱自身もよほどの覚悟がなければ、弟子として継子を背負うことはしないのであろう。
なお、元・柱のところで修行をしても、それは継子とはいわない。たとえば元・水柱で現役を退いている鱗滝左近次は、炭治郎の「育手(そだて)」であるが、育手とはあくまで最終選別のための候補者を育成して送り出す剣士のことをいう。
継子を持つ柱は通常の鬼討伐任務に加えて、有望株の若手の指導も担うことになる。そうなると、いよいよ現代社会の上司と部下の関係にも通じるものがあると感じる。
そう考えると、水柱の冨岡義勇などは普段のコミュニケーション下手も相まって、継子は絶対に取らなさそうであるし、指導もイマイチわかりづらそう。反対に明朗快活な煉獄が健在だったら、精神的な支えにもなってくれるいい師匠になりそうに思えた。
もし『鬼滅の刃』でもっと多くの継子が存在していたら……。魅力的な師弟の姿が描かれ、それはそれで面白い物語が展開されそうである。