
2005年から2009年にかけて第1期から第3期までが放送され、2017年には第4期が放送されたオリジナルアニメ『地獄少女』が、2025年で20周年を迎える。2011年のパチンコ化をきっかけに再ヒットし、幅広い世代から周知されている作品でもある。
本作はアニメ放映に先駆け、永遠幸氏の作画で少女漫画雑誌『なかよし』(講談社)で連載されていた。よって内容も少女向けかと思いきや、大人もびっくりするような理不尽なエピソードも多い。学生同士のいじめなど日常的なものはもちろん、時には大人の痴情のもつれなど幅広いテーマが描かれる。
今回はその中でも、いまだに忘れられない後味の悪い回に焦点を当てて紹介したい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■ネット怪談ブームの先駆け
各エピソードの紹介の前に、まずは『地獄少女』のあらすじから振り返っていこう。
物語は、午前零時にだけアクセスできるウェブサイト「地獄通信」に怨みを書き込むと、地獄少女・閻魔あいが現れ、憎い相手を地獄に流してくれるという都市伝説から始まる。
それは単なるうわさではなく、「地獄通信」に書き込みをした依頼者の前に閻魔あいが実際に現れ、契約の証である藁人形を渡す。その糸を解くとターゲットは地獄に流されるが、依頼者自身も死後、地獄に落ちてしまうという。
アニメ放送当時は今ほどネット環境が整っていたわけではなく、本作はいわゆる「ネット怪談」ブームの先駆けとも言える作品だった。
人間同士のやり取りや心理描写がメインなので、ターゲットの非道な行いにモヤモヤ、イライラさせられ、依頼者の葛藤に心が苦しくなることも多い。
一方で「地獄流し」と呼ばれるターゲットへのお仕置きシーンは、スカッとするものからコメディテイストなもの、おぞましいものまでバリエーション豊かだ。
基本は1話完結ながらどの話も見応えがあり、人間の心の内に迫るような内容となっている。
■家族がバラバラになった果てに…
後味が悪いエピソードの中でも、本来救われるべき依頼者が破滅してしまう展開は、特にショックが大きい。まずは『地獄少女 二籠』(2期)の7話「絆」。冒頭では、ある家族がバイク事故で長男を失ったところが描かれる。母の和子は息子の死が忘れられず、日々休むことなく怨みの矛先を向ける相手を探して活動していた。
和子の娘・恵美は、母の代わりに家事をこなすなど懸命に家族の絆を守ろうとする。しかし、母は娘のことはまるで眼中に入っていないかのように振る舞い、家事など一切を放棄。ついには出版詐欺にも引っかかったようで、お地蔵様の頭を抱いて息子の名前を呼び続けるなど、正気を失っていく。
母に同情していた父も酒浸りになり、味方がいなくなった恵美はついに母を地獄に流すことを決意した。
その後、父も家を出ていき、恵美1人だけが残ったその食卓には、家族全員分の写真と4人分のカレーライスが並べられている。恵美は平穏な家族の絆を守りたかっただけなのに、ついには母親と同じように正気を失ってしまったようだ。どうしようもなく切ない話である。