
9月19日に公開された劇場版『チェンソーマン レゼ篇』。藤本タツキさんによる原作漫画『チェンソーマン』は2022年にテレビアニメ化されており、今回の劇場版はその続きにあたる。物語は、主人公のデビルハンター・デンジが、雨宿り中に偶然出会った少女・レゼとの交流を通し、予測不能な運命へと突き進む姿を描く。
今回、アニメでも主題歌「KICK BACK」を担当し話題になった米津玄師さんが、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌として新曲「IRIS OUT」を書き下ろした。
新曲のジャケットには、米津さんが描き下ろしたレゼが描かれている。指先を口元に当てて色っぽくほほ笑むレゼを描いた厚塗りのデジタルイラストは、間違いなくプロレベルのクオリティ。作詞作曲や抜群の歌唱力という音楽の才能やカリスマ性を持つだけでなく、イラストまでハイクオリティの米津さんの多才ぶりに、多くのファンが驚いた。
米津さんはこれまでにも、自身が担当したアニメ主題歌のジャケットイラストを多く担当してきた。今回は、彼がこれまで手掛けてきたアニメイラストをいくつか振り返りたい。
■米津玄師によるハイクオリティなイラストの数々
まずは2017年に発売された「ピースサイン」。アニメ『僕のヒーローアカデミア』第2期のオープニングテーマで、2017年4月24日発売の『週刊少年ジャンプ』にてジャケットイラストが公開された。
そこでは、赤色の背景をバックに、主人公の緑谷出久が天高くピースサインを掲げる姿がモノクロで描かれている。赤と黒の配色がスタイリッシュで、作画も原作そっくり。疾走感があるポップな楽曲にもマッチしていた。
続いては、2025年1月に放送開始されたアニメ『メダリスト』の主題歌「BOW AND ARROW」。
ジャケットには、主人公・結束いのりが氷上で舞うキラキラとした姿が描かれている。こちらは色彩も豊かで、どこか幻想的なタッチだ。
米津さんは元々同作のファンであり、「アニメ化するという情報を見かけ、できることなら曲を作らせて頂けないだろうか、と打診した」と、逆オファーをかけた経緯でも話題を集めていた。歌詞に暗喩を用いるなど、作品の世界観を深く解釈し見事に落とし込んでおり、その深い作品愛は美麗なジャケットイラストからも感じられる。
同じく2025年には『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の主題歌「Plazma」と、そのジャケットイラストも手掛けている。極彩色で描かれたマチュとニャアンはクールかつスタイリッシュ。これまでとは違う『ガンダム』シリーズの世界観を見事に表現していた。
これ以外にも『シン・ウルトラマン』の主題歌「M八七」や、上述した『チェンソーマン』の「KICK BACK」のジャケットイラストも手掛けている。
米津さんは元々2009年ごろより、ボカロP・ハチとしてインターネットを中心に活動しており、楽曲に添えるイラストやアニメも自身で手掛けていた。「マトリョシカ」や「パンダヒーロー」などのキャッチーなイラストは大人気で、本名の米津玄師名義で初めて発表した「ゴーゴー幽霊船」の緻密な筆致のイラストも大きな話題となった。
米津さんにはかつては漫画家になりたかった過去もあるようだ。音楽もイラストも作品世界に見事にアジャストさせる彼のセンスと深い解釈には、どの作品の原作ファンも舌を巻いている。これからも彼の表現力に信頼を寄せつつ、まずは「IRIS OUT」と『チェンソーマン レゼ篇』の親和性を楽しみたい。