
吾峠呼世晴氏の漫画を原作とした大ヒット公開中のアニメ映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』。無限城を舞台にした戦いは、長く続いてきた物語の最終決戦であり、ラストスパートを感じさせるものとなっている。
無限城では、これまでアニメ本編で戦闘の機会が少なかった「柱」たちも、上弦の鬼と死闘を繰り広げる。そこで、決戦に向けて今一度おさらいしておきたいのが「柱たちの人間関係」だ。
基本、柱は普段から単独で任務にあたることが多いため、柱によっては交流の少ない者もいる。しかし、こうした柱たちの人間関係は、意外にもアニメオリジナル(アニオリ)のシーンで細かく描かれていることが多い。中には、原作では少ししか出てきていないシーンや、公式ファンブックで文面のみで明かされた設定の背景が、映像として描かれていることも少なくないのだ。
今回は、そんな貴重なアニオリで明かされた柱たちの関係性をあらためて振り返っていこう。
※本記事には作品の内容を含みます
■柱の中心的存在・煉獄杏寿郎を巡る人間関係
まずは、アニメ1期にあたる竈門炭治郎 立志編でのアニオリシーンを見ていこう。同シーズンでは柱の登場シーン自体がかなり少なく、おもに主人公・竈門炭治郎に焦点を当て、彼の訓練や、鬼との慣れない戦闘が丁寧に描かれている。
水柱・冨岡義勇と蟲柱・胡蝶しのぶ以外の柱が本格的に登場するのは、那田蜘蛛山での戦闘後におこなわれた柱合会議でのシーンが初登場となる。
その会議の後、第24話「機能回復訓練」では、原作漫画にない、しのぶと炎柱・煉獄杏寿郎との会話がアニオリで描かれた。
その内容は、鬼の出現情報を受けて出陣しようとする煉獄をしのぶが見送るというもの。「十二鬼月でしょうか」「おそらくな。上弦かもしれん」と、柱らしい会話の後、「煉獄さんが行かれるのであれば心配ありませんね」と、しのぶが煉獄に寄せる信頼しきった様子もうかがえる。時系列的にいえば、この戦いこそが無限列車編に繋がることを思うと、なんとも切ないが……。
また、煉獄はしのぶに、今後、炭治郎の扱いをどうしていくのかとも話していた。その様子から、この2人はお互いに柱として敬意を持って、実力を認め合っていたことが分かる。
そんな煉獄は、他の柱からも熱い信頼を得ていた。かつては煉獄の継子だった恋柱・甘露寺蜜璃が、彼について語ったアニオリシーンもあった。
柱稽古編第8話の大正コソコソ噂話で、甘露寺は「煉獄さんの稽古はとっても厳しいけどすごく真剣で熱がこもったものだった」「かっこいいお兄様」と、彼の人間性に太鼓判を押している。かつては大きな釜いっぱいに炊いたさつまいもご飯を2人で食べた思い出も語られており、仕事における関係だけでなく、私生活においても煉獄を慕っていたことが伝わる。
同じく「大正コソコソ噂話」からは、遊郭編第8話で、本編では上弦の陸との戦闘真っ最中の音柱・宇髄天元が自問自答しているところに、煉獄の幻が現れるアニオリシーンがあった。
自分が煉獄より劣ると思っている宇髄に対し、煉獄は「お前の剣技は美しい」と讃え、炭治郎たちのことを託した。それは宇髄の幻や願いに過ぎないのかもしれないが、間違いなく煉獄が多くの柱に慕われ、また彼も広い心で仲間たちを認めていたということなのだろう。