
吾峠呼世晴氏の漫画を原作とした劇場版アニメ『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が、公開38日で興行収入280億円超を突破し、日本で公開された映画の興行収入歴代3位という記録を叩き出した。
そんな本作には、主人公・竈門炭治郎をはじめ魅力的なキャラクターたちが多く登場する。なかでもその圧倒的実力と個性的な立ち振る舞いで多くの読者・視聴者の心を惹きつけるのが「鬼殺隊」の精鋭集団・柱たちだ。
いずれも他の追随を許さない実力者である彼らだが、その高い実力の裏にはそれぞれの苦悩と、並々ならぬ努力が隠されていた。今回は、そんな柱たちの涙ぐましい努力と工夫の数々を見ていこう。
※本記事には作品の内容を含みます
■親友との悲しき別れを経て…水柱・冨岡義勇
まずは、水柱を担う冨岡義勇だ。物語序盤、炭治郎を救い、彼が鬼殺隊に入るきっかけを作った重要な人物である。
「全集中・水の呼吸」の使い手である義勇は、他の柱同様、一般隊士を凌駕した凄まじい実力を持っている。「那田蜘蛛山編」では炭治郎ら鬼殺隊士が苦戦を強いられた十二鬼月・累を相手に、オリジナルの型「拾壱ノ型 凪」で圧勝するなど脅威の戦闘力を見せた。
そんな義勇だが、高い実力に反し、実はとてもナイーブで自己評価が低い。作中では「水柱になっていい人間じゃない」「俺は彼ら(柱)とは違う」など、ネガティブな発言も見られる。
実はこれは、彼が鬼殺隊に入隊する際に体験した過去の出来事が関係していた。
かつて義勇は炭治郎同様、鱗滝左近次に師事し、藤襲山でおこなわれる鬼殺隊の入隊試験「最終選別」に挑んだ。だが彼は最初に襲いかかってきた鬼に重傷を負わされ気絶。早々に戦闘不能に陥ってしまう。
そんな義勇を救ったのが、同期であり、共に鱗滝のもとで学んだ親友・錆兎であった。錆兎は義勇やほかの受験生を救うため、ずば抜けた実力で多くの鬼を撃破。だが、後に炭治郎が討伐することとなる強敵・手鬼との戦いに破れてしまう。
義勇が意識を取り戻したとき、すでに最終選別は終わっていた。そして、錆兎がほとんどの鬼を1人で倒しながらも命を落としたこと、彼以外の受験者たちが選別に受かったことを知る。
以降、義勇は何一つ戦えなかった自分を悔い、死に物狂いで鍛錬を続け、他の柱と肩を並べるほどの実力者へと成長していった。決して体質や才能、家柄などに恵まれていたわけではないが、だからこそ過去の後悔や苦悩をバネに努力で道を切り開いたのだ。
義勇のその並々ならぬ努力は他の柱も認めているようで、公式ファンブックでは炎柱・煉獄杏寿郎、蟲柱・胡蝶しのぶが彼を「努力家」と評している。
■忍びとしての過去を活かした戦闘能力…音柱・宇髄天元
性格的にも曲者揃いの柱たちだが、なかでもその“ド派手”な個性で大きなインパクトを与えたのが、音柱・宇髄天元だろう。
もともと忍の末裔であった彼は次世代を担う頭領として育てられたが、部下や家族に対し無機質で冷酷な親兄弟に嫌気が差し、妻である3人のくノ一と共に抜け忍となり、鬼殺隊に身を寄せた。
“祭りの神”を自称する天元は、鍛え上げた屈強な肉体に派手なアクセサリーをいくつもつけ、両手にたずさえた二本の日輪刀と爆薬丸を組み合わせたド派手な戦術を得意とする。一見、どこか軽薄そうにも見えるが、堅実な姿勢で任務をこなす姿が印象的だ。
天元は生まれ持った才覚や怪物じみた実力を持つ他の柱に比べ、自身が劣っていると自覚しており、とにかく任務についての情報収集を欠かさない。
これは「遊郭編」でも発揮されており、鬼の潜む場所はもちろん、戦いの舞台となるであろう地形、被害者から割り出した鬼の特性など、前もって手に入れていた情報により戦局を有利に導いた。
また、前線での指揮能力も優秀だ。実際「遊郭編」では任務を共にする炭治郎らに的確な指示を出し、彼らの力を最大限に引き出している。
もちろん、忍であった過去は戦闘にも活かされており、特に俊敏さや移動速度の速さは柱随一と言って良いほど。その上、鬼にすら知覚できないほど己の気配を殺す隠密性にも長けている。
ド派手な見た目や立ち振る舞いにばかり目を奪われがちだが、その裏には柱としての苦悩と、それを跳ね返すほどの強い想いや努力が隠されていた。